ボタニカルシャンプーの「BOTANIST」の大ヒットで売上規模は200億円を突破。ヘアアイロン・ヘアドライヤーの「SALONIA」の販売など自社企画ブランドを幅広く展開しているI-ne(アイエヌイー)。2021年9月末時点の従業員数は281名、子会社は国内2社、海外1社。売上規模は安定的に成長しているものの、売上高200億円を超えてからは従来の爆発的な成長は起こっていない。I-neの業績と株価の行方はどうなるのか?
ボタニカルシャンプー「BOTANIST」のI-ne(アイエヌイー)、ビューティーテックの行方は?(2021年6月6日投稿)
■基本情報(2021年11月19日時点)
- 株価:4,185円(10年来高値:6,890円)
- 時価総額:366億円
- 予想PER:34.8倍
- PBR:4.34倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:60.1%
- 会計基準:日本基準
■I-neの業績は?
I-neの2021年12月期の第三四半期の売上高は209億円(前年同期比+29.0%)、営業利益22億円(前年同期比+159.4%増)の増収増益。I-neの売上総利益率は+53.3%(前年は+47.9%)、営業利益は+10.5%(前年同期は+5.2%)と改善傾向となった。
I-neの販管費を見ると、広告宣伝費に売上高比で16.4%を投入しており、前年同期よりも+4.1ポイントの増加となった。積極的にプロモーションを投入している形だ。I-neの業績を引っ張っているのは「BOTANIST」とヘアドライヤーなどの「SALONIA」だ。「BOTANIST」のシャンプー(490ml)はAmazonで見ると1本1,700円(税込み)で販売されている。資生堂、コーセー、花王、ミルボンなど大手の販売価格は500円前後であることを考えると、かなり高価格帯のヘアケア用品を販売している。しかも、売れている。
■成長を支える「SALONIA」!
I-neの業績の基盤を支えているのは「BOTANIST」であることは間違いないが、成長を牽引しているのは「SALONIA」だ。前年同期比+37.3%の伸びとなり、2021年3Q累計での売上高は58億円。I-neの4分の1以上の売上高をたたき出している。この分野はパナソニック、ダイソンなどの大手だけでなく、トレーニング機器のMTGや美容機器メーカーのヤーマンなど様々なメーカーが参入している。ヤーマンはスカルプドライヤーという分野で美容音波振動ドライヤーという新しいコンセプトの商品を打ち出している。
I-neは「BOTANIST」「SALONIA」で売上高の約4分の3を稼いでいるが、「DROAS」「CHILLOUT」など育成ブランドで4分の1の売上高を計上している。いかに成長するブランドを作れるかが今後の成長のカギになる。
■I-neの株価推移は?
I-neの時価総額は約370億円。気になるのはI-neの売上総利益率。売上総利益率は50%前後となっており、完全にOEMに委託している自社ブランド企画メーカーとしては、もう少し利益率がほしいところ。トレーニング機器メーカーのMTGの売上総利益率は70%前後、美顔器メーカーのヤーマンは60%前後となっている。スキンケアのプレミアアンチエイジングの売上総利益率は80%前後と高い。
言い換えると、I-neは原価の高い製品を適正価格で販売しているとも言えるので、消費者が高いロイヤリティを持つことになるので、売上総利益率が低いことは悪い点だけではない。ただし、営業利益率が10%を安定的に超えるハードルは結構高いかもしれない。引き続き、注目したい。
以 上