BtoBの不動産テックという領域でクラウド型の「@プロパティ(アットプロパティ)」というソフトウェアサービスを提供しているプロパティデータバンク。2022年3月期の1Q決算で前年同期比マイナスの売上高を公表したことで株価は大きく下落。株価は下落トレンドに入っている。プロパティデータバンクの業績と株価の行方は?
不動産テックのプロパティデータバンク、ITで不動産・施設の資産管理を支援!(2021年4月4日投稿)
■基本情報(2021年9月10日時点)
- 株価:1,497円(10年来高値:2,980円)
- 時価総額:89億円
- 予想PER:23.9倍
- PBR:4.18倍
- 予想配当利回り:0.8%
- 自己資本比率:77.8%
- 会計基準:日本基準
■プロパティデータバンクの業績は?
プロパティデータバンクの2022年3月期の第一四半期の売上高は4.4億円(前年同期比△12.5%減)、営業利益52百万円(前年同期比△51.3%減)の減収減益となった。プロパティデータバンクの売上総利益率は+45.3%(前年同期は+48.9%)、営業利益率は+11.8%(前年同期は+21.3%)に悪化。
プロパティデータバンクの売上内訳を見ると、ストック型売上のクラウドサービスは3.6億円と前年同期プラス54百万円(+18.8%増)となったものの、フロー型売上のソリューションサービスがコロナ感染拡大の影響で受注遅れ(または受注減)となった。
表面上の業績は前年同期比で大きく悪化しているものの、プロパティデータバンクにとってクラウドサービス(ストック型売上)が長期的には重要で安定的に成長していることは評価できるだろう。四半期ベースで見てもクラウドサービスの売上高は増加傾向となっている。少し心配なのは、2021年3月期の4Qの月平均のクラウドサービスの売上高は114百万円だったものの、2022年3月期の1Q(今回)は115百万円と微増にとどまっている点は気になる。成長性が大きく鈍化していることは数値からわかるからだ。
■1社あたりの月額利用単価が下落
クラウドサービスの1社あたりの月額利用単価は39.1万円(21年4Q)まで上昇していたものの、22年1Q(今回)は38.7万円と若干の下落となった。プロパティデータバンクの契約社数は290社を突破。契約企業はJ-REIT、不動産会社、不動産管理会社、デベロッパー、生命保険会社、電鉄、電力会社など不動産を保有する企業などだ。
2021年3月末時点の登録棟数は8.9万棟となっており、ここからどこまで拡大余力があるか見えない点が不安ではある。つまり、プロパティデータバンクの狙っている市場規模がよく見えない。データを調べるかぎり、日本のビルは約1万棟、マンションは約12万棟と言われており、すでに約9万棟まで「@プロパティ」が導入されている場合、今後の拡大余地が限られるかもしれない。
■プロパティデータバンクの株価推移は?
プロパティデータバンクの時価総額は約90億円。クラウドサービスは伸びているものの、クラウドサービスだけの売上規模をみると年間売上高は13~15億円程度。ここから成長余地がそれほどないのであれば、時価総額200~500億円を狙う企業になるのは難しいかもしれない。
株価チャートを見ると、完全に下落トレンドに入っており当面は様子見が無難かもしれない。いまは一時的に反発しているものの、まだまだ株価は下落するかもしれない。プロパティデータバンクの株を保有していないからこそ、客観的に株価チャートを見れるのかもしれない。当面は株価チャートがヨコヨコになるまでは手出し無用だ。
ここ最近、クラウド型、サブスクリプション型、SaaS型、ストック型など呼ばれる積み上げ型のITサービスが多く高い事業価値で評価されている。しかしながら、売上高に占める本当のストック比率を見極めないと、プロパティデータバンクのように前年同期比でマイナスという結果になり、株価が大きく下げてしまう可能性があるので注意が必要だ。
以 上