クラウド型の不動産・施設の資産管理サービスをシステム「@プロパティ」を提供しているプロパティデータバンク(以下、プロパティDB)。プロパティDBはJーREIT、不動産会社、不動産ファンド、電力会社など不動産を所有する企業向けに管理システムを提供している。契約社数は280社を突破、登録棟数は5万棟を超える。プロパティDBの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年4月2日時点)
- 株価:2,084円(10年来高値:2,980円)
- 時価総額:123億円
- 予想PER:38.2倍
- PBR:6.01倍
- 予想配当利回り:0.52%
- 自己資本比率:78.8%
- 会計基準:日本基準
■プロパティDBの業績は?
プロパティDBの2021年3月期の第三四半期の売上高は15.7億円(前年同期比+19%増)、営業利益3.6億円(前年同期比+92.5%増)の増収増益となった。プロパティDBの売上総利益率は+48.7%(前年同期は+46.0%)と改善、営業利益率は+22.6%(前年同期は+14.0%)と大きく改善した。プロパティDBの販管費は約4億円であり、前年同期比で減少していてコスト管理がしっかりされていることは好印象だ。社員数は60名前後と少数で事業を回している。
■プロパティDBの登録棟数は?
プロパティDBの登録棟数は6万棟を突破。2020年は現時点で前年末比+9,069棟と大幅な増加となった。ただし、心配されるのは今後の成長性だ。日本全国にあるオフィスビルは約1万棟(2019年1月の日本不動産研究所データより)と公表されている。マンション(約12万棟)や商業施設などもプロパティDBの登録棟数に入っていると思われるが、どこまで成長余地があるのかが問題だ。
おそらく、登録棟数6万棟は重複で登録されているものもあると思うが、すでに280社が利用しており、成長余地がどれほど残っているのだろうか。現時点で年間売上高は約20億円。ここから売上高が5倍の100億円になる場合、かなりの登録棟数と利用会社の増加が必要だ。
■プロパティDBの事業内容は?
プロパティDBが提供しているサービスは「@プロパティ」。SaaS(クラウド型)の不動産管理サービスを提供している。土地・建物情報、賃貸契約、工事など不動産管理と不動産会計などを一括操作できるシステムだ。これまではエクセルなどで管理していた情報を「@プロパティ」で一括管理できるもの。J-REITや不動産管理会社、電鉄会社など不動産を多く保有している会社が使用している。
■プロパティDBの株価推移は?
プロパティDBの時価総額は約120億円。2020年3月のコロナショック時は株価450円まで下がったものの、現在は2,000円を超える水準まで上昇している。すでに4倍を超える株価まで上昇中だ。プロパティDBで心配なのは成長余地がどれほどあるかという点だ。大手不動産会社は自社で不動産管理システムを構築しており、プロパティDBがどこまで切り替えを促せるか。自社で1棟以内の資産管理であれば、従来のエクセル管理で十分と考える企業も少なくないだろう。
プロパティDBの1社あたりの平均月額利用料は約38万円、年間のシステム利用料は400万円を超える。もちろん、利用ユーザー数や登録棟数で価格は変化するものの、それほど安いシステムではない。中小の不動産管理会社で導入するには低価格サービスなども必要になるだろう。
以 上