研究開発受託会社として、医薬品・農薬・食品などさまざまな材料や製品を開発している神戸天然物化学。年間で100を超える企業や研究機関から受注している。研究・開発・量産のステージまで顧客の要求を具体化することで要求にこたえるビジネスモデル。付加価値の高い利益モデルで継続的な成長が期待できそうだ。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2023年7月7日時点)
- 株価:1,886円(10年来高値:4,830円)
- 時価総額:148億円
- 予想PER:12.3倍
- PBR:1.23倍
- 予想配当利回り:1.59%
- 自己資本比率:76.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:3,095人(2023年3月31日時点)
■神戸天然物化学の業績は?
神戸天然物化学の2023年3月期の売上高は86.3億円(前年比+16.0%増)、営業利益21.6億円(前年比+97.7%増)の増収増益。神戸天然物化学の売上総利益率は+38.3%(前年は+28.3%)、営業利益率は+25.1%(+14.7%)と製造業としては利益率が高い。
神戸天然物化学の売上総利益は前年の21.1億円→33.0億円と+11.9億円の増加、販管費は前年の10.1億円→11.4億円と+1.3億円の増加にとどまり、差し引きで+10.6億円の営業利益の増加となった。売上規模が+16%で伸びたものの、販管費がほとんど増えていないのは好感をもてるコスト構造だ。
■神戸天然物化学の事業内容は?
神戸天然物化学の事業内容を知っている人はそれほど多くないだろう。機能材料、医薬、バイオの大きく3つの領域で受託開発などを行っている。それぞれ量産ステージだけでなく、開発・研究ステージでも受託しているのが特徴だ。
具体的には、エレクトロニクス材料(半導体、液晶、有機ELなど)、医薬品(抗がん剤、抗菌薬、アレルギー薬など)、化粧品(保湿剤、美白剤、口紅、アイシャドウほか)、食品(調味料、香料、甘味料など)と対象としている製品・材料は多岐にわたる。委託している企業は公表されていないので、最終商品には神戸天然物化学の名称が付されていないため、消費者で神戸天然物化学の企業名を知っている人はほとんどいないだろう。
■売上高推移をみると?
神戸天然物化学の業績はきわめて好調だ。四半期ベースで大きく成長しており、下期に売上高が集中する傾向がある。最近では医薬分野が全体の50%以上の売上高を占める。事業モデルとしては、量産分野の売上高が全体の55%と大きく、開発が32.3%とつづく。
顧客としては、研究開発を委託し、開発に成功すると、そのまま神戸天然物化学に量産化まで委託できる便利な取引先として重宝していると思われる。
■神戸天然物化学の財務状況は?
神戸天然物化学の2023年3月末の財務諸表をみると、現預金は23億円、在庫は約22億円、有形固定資産は72億円となっている。負債は、有利子負債が約16億円となっているものの、財務的には健全だ。自己資本比率は70%を超えており、製造業としては盤石な財務基盤を持っている。
神戸天然物化学のキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+20億円、投資CFは△11.5億円、財務CFは長期借入金の返済や配当金の支払いにより△5.2億円のマイナスとなっている。差し引きで現預金の増減は+3.2億円となり、年度末の現預金残高は+23億円となっている。事業モデルとしては設備投資比率が高いため、配当性向は30%前後にとどまる。
現時点で、2024年にバイオリサーチセンター新棟の投資などで30億円、2025年に出雲第二工場の新規設備などで40億円の設備投資を計画している。かなり積極的な投資を計画しており、将来的な生産能力の拡大により売上高の増加が期待できるのではないだろうか?
■神戸天然物化学の株価推移は?
神戸天然物化学の時価総額は約150億円。積極的な設備投資がプラスにでるか悩ましい点はあるものの、時代の流れとして、電子材料、バイオ、医薬品の需要は減ることはないだろう。この半年で1.5倍以上、株価は上昇しており、上昇トレンドに入った気がする。上場来高値の更新を目指して、ゆっくりと成長していく気がする。
以 上