グローバルENSのビザスク(VISASQ)、ほぼ成長停滞、COLEMANの買収効果は?

 グローバルENS(Expert Network Service、エキスパートネットワークサービス)や国内事業者向けにインタビュー、オンラインサーベイなどサービスを展開しているビザスク(VISASQ)。2023年7月14日に2024年2月期の第一四半期の決算を発表したものの、成長性の鈍化が大きい。円安効果を除くと、前年同期からほぼ成長ゼロの状況だ。米国を中心に不景気(リセッション)が数値に表れている。

グローバルENSのビザスク、COLEMAN買収で規模拡大つづく、収益性の行方は?(2023年4月23日投稿)

米国Coleman買収のビザスク、グローバルENSの事業展開の行方は?円安で苦戦も!(2022年11月5日投稿)

■基本情報(2023年7月14日時点)

  • 株価:1,506円(10年来高値:7,120円)
  • 時価総額:138億円
  • 予想PER:138.2倍
  • PBR:4.41倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:59.3%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:6,499人(2023年2月28日時点)

■ビザスクの業績は?

 ビザスクの2024年2月期の第一四半期は取扱高31.3億円、売上高21.3億円(前年同期比+8.8%増)、営業損益△82百万円(前年同期は+45百万円)の増収赤字転落となった。ビザスクは売上総利益を公表していないため、粗利を把握できない。

 売上高を前年同期比でみると+8.8%の成長に見えるものの、為替レートが前年は1ドルあたり約116円、今回は約132円のため、為替による影響を補正すると、取扱高・営業利益ともに前年同期比+1%くらいが実態の成長になる。

 欧米では景気悪化(リセッション)にほぼ入っており、これから当面は厳しい環境が続きそうだ。金利上昇などにより企業価値の評価も下がり、前向きな企業買収から後ろ向きな企業売却に切り替わる可能性もある。グローバルENSの需要にはプラスにはならないだろう。

■苦戦するCOLEMAN事業!

 ビザスクの事業状況をみると、米国のCOLEMAN事業が苦戦している。全体感として、四半期の業績推移をみると、売上高・取引高ともにこの1年間は横ばいから微減がつづいている。いっぽう、国内事業は堅調でゆるやかな成長を四半期ベースで実現している。クライアント口座数は1,535口座(2022年末は1,452口座、2021年末は995口座)と順調だ。

 売上高の内訳をみると、日本国内は11.6億円(前年同期は8.5億円、+36.5%増)、米国は9.7億円(前年同期は11.1億円、△13%減)となっている。日本では利益がでているものの、米国では赤字がつづく。米国は年間で△11億円の、のれんの償却が入るため、今回の四半期では約2.8億円の償却費が入っていることを考慮しても、米国事業は赤字と推定する(今回の四半期の米国の営業赤字は△3.9億円)。

■ビザスクの財務状況は?

 ビザスクの2023年5月末の財務諸表をみると、現預金は35億円、無形資産は144億円。有利子負債は約35億円、契約負債(前受金)は17.7億円、繰延税金負債は19.3億円となっている。

 COLEMAN(買収対価:102百万ドル、円換算約112億円))の買収資金は第三者割当増資で約95億円を調達しており、ビザスクの負担感はそれほど大きくない。欧米の需要が戻ってきたときには、大きく収益を伸ばすのではないだろうか。そもそも、表面上の利益から、のれん償却費を除いたキャッシュ創出力であるEBITDAをみると四半期利益は+2.1億円、年間で14億円を想定している。将来的に、この数値がどこまで大きくなるかで投資の判断をすべきではないだろうか(ただ、今回の四半期の+2.1億円はかなり小さいのは気になる)。

■ビザスクの株価推移は?

 ビザスクの時価総額は約140億円。いまの業績をみていると、時価総額100億円くらいまで下落する可能性は想定できるものの、半値は少し想定しづらい。日本国内ではダントツの存在感であり、欧米の需要回復しだいで業績は期待できるだろう。

(画像1)ビザスクの株価推移

以 上

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