スペースを15分単位で貸し借りできるシェアリングエコノミービジネスを展開しているスペースマーケット。前年同期比で売上高は若干増加しているものの、販管費が大きく増加したため営業利益は赤字に転落。アフターコロナでまだ売上高が浮上せず苦戦が継続。今後のスペースマーケットの業績と株価の行方はどうなるのか?なお、上場来高値から5分の1以下まで株価は下落している。
15分単位のスペース貸し借り、スペースマーケット、アフターコロナの反発は?(2022年9月17日投稿)
シェアリングスペースのスペースマーケット!15分単位で貸し借りできるスペース事業(2021年1月24日投稿)
■基本情報(2022年11月11日時点)
- 株価:272円(10年来高値:1,990円)
- 時価総額:32億円
- 予想PER:ー(赤字予想)
- PBR:4.55倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:53.3%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,556人(2021年12月31日時点)
■スペースマーケットの業績は?
スペースマーケットの2022年12月の第三四半期の総取扱高は25.3億円(前年同期比+7.1%増)、売上高は8.6億円(前年同期比+5.3%増)、営業損失は△1.3億円(前年同期は+31百万円の黒字)と増収赤字転落となった。スペースマーケットの総取扱高に対する売上総利益率は+23.8%(前年同期は+25.0%)と悪化。
売上総利益は6.0億円(前年同期は5.9億円)だったものの、販管費が7.3億円(前年同期は5.6億円)だったため、差額1.3億円が赤字となった。気になるのは総取扱高や売上高の伸び率に対して、売上総利益の伸びが鈍化していることだ。つまり、伸びていない。
販管費増の理由をみると、人件費やその他の項目が増えている。その他の項目については内容不明であるものの、ここの伸びが大きい。
■最近のスペースマーケットの動向は?
アフターコロナに入って正直、外出制限がまったくない状況になっているものの、スペースシェアリングの大きな伸びがみられず、市場のニーズが本当にあるのか気になるところ。空きスペースの需要は、ホテル、マンガ喫茶、貸し会議室などと重なる部分があり、まだまだ供給のほうが多いイメージ。このような他社もスペース拡大の動きのなかで、スペースマーケットは違いを本当に見せられるか気になる。
スペースマーケットの決算説明資料をみると、1人~少人数利用が増加中で、面接・面談、自習、楽器練習などの利用数が大きく増加としている。ただ、快活クラブなど個室型のマンガ喫茶も増加しており、顧客のニーズを満たす競合が増えているのではないだろうか。
■スペースマーケットの財務状況は?
スペースマーケットの2022年9月末時点の財務状況をみると、現預金は3.6億円。有利子負債は1億円ほどで資金繰りは健全だ。いまのところ、資金繰りが苦しい状況ではないため、長期投資という視点ではリスクの少ない銘柄のひとつ。伸びしろは未知数であるものの、期待感はある。
スペースマーケットの売上高は4Qが大きく伸びる傾向があるので、総取扱高は通期で35億円ほど行くかもしれない。総取扱高35億円くらいのベースでは売上高は11億円くらいのため、まだまだ規模感の上乗せが必要だ。
■スペースマーケットの株価推移は?
スペースマーケットの時価総額は32億円。この1年で3分の1以下くらいまで下落。成長性がほとんど見られず、グロース銘柄とは言えない状況になっている。当初はシェアリングエコノミーと目新しかったものの、ニーズがそれほどないのでは?と市場がみているのが現状だ。どこかで2ケタの成長性を出すことができれば見える世界も変わってくるかもしれない。
インバウンドなどの流入により、ホテルなどの宿泊施設や貸し会議室などがいっぱいになると、スペースマーケットに需要が流れてくるかもしれない。ホテルなどは全国旅行支援で特需となっており、12月末まではホテル・旅館などに顧客が流れるだろう。いま全国旅行支援などの割引がないスペースマーケットを活用する動機はそれほど高くないのが現状だ。
以 上