海外苦戦のキュービーネットホールディングス、「QBハウス」を展開!

 「QBハウス」「QBプレミアム」などのヘアカット専門店の理容チェーン店を国内で展開し、シンガポール、香港、台湾、アメリカでも理容チェーン店のビジネスを展開しているキュービーネットホールディングス(以下、QBネット)。香港、シンガポールが苦戦し業績は未達。香港は来店客数が増えず、価格改定を延期している。今後の業績と株価の行方は?

「QBハウス」運営のキュービーネットホールディングス、伸びる海外事業!(2023年8月17日投稿)

■基本情報(2024年8月30日時点)

  • 株価:1,093円(10年来高値:2,740円)
  • 時価総額:143億円
  • 予想PER:11.7倍
  • PBR:1.01倍
  • 予想配当利回り:3.2%
  • 自己資本比率:43.9%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:5,028人(2023年6月30日時点)
  • 事業価値:178億円

■QBネットの業績は?

 QBネットの2024年6月期の売上高は248億円(前年比+8.8%増)、営業利益21.2億円(前年比△1.1%減)の増収減益。QBネットの売上総利益率は+23.5%(前年は+23.2%)、営業利益率は+8.5%(前年は+9.4%)と粗利は改善しているものの、販管費増加により営業利益率は悪化となった。

 QBネットの売上総利益は前年の52.9億円→58.3億円と+5.4億円の増加、販管費は前年の31.2億円→36.6億円と+5.4億円の増加となり、営業利益はほぼ横ばいとなった。

■QBネットの事業状況は?

 QBネットの2024年6月末時点の店舗数は691店舗。日本国内563店舗、香港59店舗、台湾34店舗、アメリカ5店舗となっている。日本は昨年の575店舗→563店舗と△12店舗の減少、海外は126店舗→128店舗と+2店舗となっている。QBネットの事業モデルであると、いかに店舗数を増やすかが課題であり、日本国内では同じ価格帯の競合他社が増え、店舗を増やすことが難しくなっている。

 日本国内では採用が大きな課題。正社員は1年間で255名採用したものの、退職率は年平均7.3%と高い。ただし、待遇改善を実施し、退職率は2024年6月に5.6%まで下がっている。2025年6月期の業績目標をみると、増収減益を計画している。

 既存店売上の増収効果+4.8億円はあるものの、待遇改善により△3.2億円、券売機・キャッシュレス費用増で△1.6億円、本部人員増等で△1.0億円などを見込んでいる。

■さらなる海外展開!

 QBネットは2025年6月期、カナダ、ベトナム、マレーシアへ新規出店を計画している。今後の傾向として、海外をいかに伸ばしていくかが戦略の大きな要だ。

 2029年6月期の中計としては、売上高355億円、営業利益34億円を目指す(2025年6月期は売上高257億円、営業利益19億円)。税引き後利益を25億円で、予想PERを10~15倍で計算すると、時価総額は250~375億円と試算できる。現在の時価総額は約140億円のため、上手くいくと株価は1.5~2.0倍になることが試算できる。

 年平均成長率(CAGR)は+7.5%であり、足元の成長率が+9%前後のため、実現できない目標ではない。

■QBネットの財務状況は?

 QBネットの2024年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は47億円、のれん関係が154億円、使用権資産(リース資産)が59億円となっている。負債をみると、有利子負債は82億円、リース負債が59億円となっている。利益剰余金は77億円。

 QBネットのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+50億円、投資CFは△8.5億円、財務CFは△41億円となり、現預金は+1.7億円となっている。ただし、リース会計の影響を控除すると、営業CFは+21億円、投資CFは△8.5億円、財務CFは△12億円となる。フリーキャッシュフローは+12.5億円。

■QBネットの株価推移は?

 QBネットの時価総額は約140億円。予想配当利回りが+3.2%となり、株価的には割安感はある。2024年8月5日の利上げショックで株価は大きく下落し、決算発表でも期待に応える決算とならず、株価は上場来最安値圏となっている。今期の業績は厳しいという発表であり、どこまで悲観的なマインドが株価に織り込まれたか。

 もし、悲観的なマインドが十分織り込まれていれば、ここが安値圏となり決算発表でそれほど下がる要素がないと捉えることができる。株主優待を新設すれば、株価は大きく反発するだろう。

以 上

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