「QBハウス」運営のキュービーネットホールディングス、伸びる海外事業!

 「QBハウス」「QBプレミアム」などのヘアカット専門店の理容チェーン店を国内で展開し、シンガポール、香港、台湾、アメリカでも理容チェーン店のビジネスを展開しているキュービーネットホールディングス(以下、QBネット)。思い込みで1000円カットはそれほど儲からないと思っていたものの、決算資料を読むと、けっこう収益性のある事業を展開していた。

■基本情報(2023年8月16日時点)

  • 株価:1,554円(10年来高値:2,740円)
  • 時価総額:200億円
  • 予想PER:12.5倍
  • PBR:1.55倍
  • 予想配当利回り:1.43%
  • 自己資本比率:41.4%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:5,147人(2022年6月30日時点)

■QBネットの業績は?

 QBネットの2023年6月期の売上高は227億円(前年比+10.6%増)、営業利益21.4億円(前年比+52.9%増)の増収増益。QBネットの売上総利益率は+23.2%(前年は+19.6%)、営業利益率は+9.3%(前年は+6.7%)と大きく改善している。

 QBネットの売上総利益は前年の40.3億円→52.9億円と+12.6億円の増加、販管費は前年の26.2億円→31.2億円と+5.0億円の増加となり、差し引きで7.6億円の営業利益の改善となった。結果、営業利益は14.0億円→21.4億円と+7.4億円の増加。

■QBネットの事業内容は?

 QBネットはヘアカット専門店として「QBハウス」や「QBプレミアム」などを日本国内、海外で展開している。「QBハウス」は日本国内では1,350円(2023年4月に1,200円から値上げ)、「QBプレミアム」は日本国内では1,800円(2023年4月に1,650円から値上げ)でヘアカットする。

 「QBハウス」と「QBプレミアム」の違いは、予約できるか予約できないかの違いが一番大きい。「QBプレミアム」の店内は美容院のようなオシャレな造りになっている。また、「QBプレミアム」は経験豊富なスタイリストが担当している。

■QBネットの海外展開!

 QBネットは日本国内で2023年6月末時点で575店舗、海外店舗は126店舗となっている。海外店舗は、シンガポールが61店舗、香港が61店舗、台湾が30店舗、アメリカが5店舗となっている。

 国内と海外の売上高は開示しているものの、海外で利益がでているかは不明だ。決算説明資料や有価証券報告書をみたものの、利益の面で国内・海外を分けて開示しているところはなかった。もし、海外ですでに利益がでているのであれば、海外の店舗数増により利益がより拡大していくストーリーを描くことができる。

 QBネットは海外も含めて値上げに積極的であり、売上総利益率の改善が大きい。顧客がしっかりついてくるなら、さらなる業績改善が期待できる。

■QBネットの財務状況は?

 QBネットの2023年6月末の財務諸表をみると、現預金は44億円、のれん関連が約200億円、その他金融資産が20億円となっている。負債は有利子負債が約95億円、リース負債(賃貸している店舗と思われる)が54億円となっている。QBネットはIFRS基準を採用しているため、のれん関連については償却をしていない。将来的に業績が悪化すると減損するリスクは残る。現在の資本が128億円のため、業績が悪化すると一気に債務超過になるリスクはある。

 QBネットのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+47億円、投資CFは△4.8億円、財務CFは△36億円となり、現預金は+7.1億円の増加となっている。ただ、QBネットの利益構造から考えると、賃貸料(リース代)が営業CFと財務CFで両建てのような形になっているため、28億円をネットしてやると実態が見える。実態ベースでは営業CFは+19億円、財務CFは△8億円が実態だろう。

■QBネットの株価推移は?

 QBネットの時価総額は約200億円。事業モデルとして、労働集約型のビジネスであり、ヘアカット代と賃金のバランスをいかに取るかがポイントだ。2023年4月から値上げをしているものの、2023年8月給与からベースアップを実施する。今後は従業員の離職率の改善、人材採用・育成など課題が多い。

 現在、パートも入れて、従業員数は2,065人。仮に年収20万円を改善させると、約4.1億円のコスト増になる。成長性はそれほど高くなく、稼働率の低下や離職率のアップで業績の下振れリスクは残る。ただ、もう少し株価が下がれば面白い銘柄ではある。

(画像1)QBネットの株価推移

以 上

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