TV通販中心の実演販売のコパ・コーポレーション、上場後は苦戦つづく!

 テレビ通販を中心に実演販売士が商品をPRして販売する独自のビジネスモデル持つコパ・コーポレーション(以下、コパ)。2020年6月24日に東証マザーズに上場し、2021年3月期までの決算は好調だったものの、そこから業績は一気に悪化。株価は上場来最高値から9分の1くらいまでの水準に沈んでいる状況だ。コパの業績と株価の行方はどうなるのだろうか?

■基本情報(2022年4月22日時点)

  • 株価:1,024円(10年来高値:9,320円)
  • 時価総額:30億円
  • 予想PER:48.1倍
  • PBR:1.04倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:87.6%
  • 会計基準:日本基準

■コパの業績は?

 コパの2022年2月期は決算期の変更に伴い11カ月決算と変則になっている。2022年2月期の売上高は38.6億円、営業利益1.4億円となり、前年と比較できないものの、大きな減収減益となっている。

 コパの売上総利益率は+33.7%(前年は+33.6%)、営業利益率は+3.4%(前年は+13.7%)と売上総利益率は変わらないものの、売上規模の大きな減少のため販管費をカバーできずに営業利益率は大きな悪化となった。コパの営業利益率は10%前後で推移してきたものの、2022年2月期だけ大きく悪化しており、合理的な理由が見つからない。

 コパの説明によると「巣ごもり消費の落ち着き、夏場の天候不順による売れ筋商品の伸び悩み、新たな倉庫契約による固定費増」を理由に挙げているものの、ここまで売上規模が下がる妥当な理由には思えない。

■コパのビジネスモデルは?

 コパは従業員数50名で実演販売員の所定の基準をクリアした実演販売士を抱える、独自のセールスPR事業モデルを構築している。売上高の約半分はテレビ通販が占めており、業者への卸売り、インターネット通販の3つで全体の約95%を占めている。

 2022年2月期はこれらの3つのチャネルすべての数値が大きく悪化しており、ヒット商品がでないと安定的に稼げないコパの事業モデルが明らかになった形だ。コパの商品はAmazonでも販売されていて、「パルスイクロス」(税込み922円)はそれほど評判は高くなく、実態以上に商品を評価しているケースが出ているようだ。

 良い商品をPRすることが実演販売士は「過大に商品をPRしてしまうリスクがある」ということ。いかに良い商品を開発するかがコパの課題になっている。

■2022年2月の業績を振り返る

 当初の2022年2月期の業績予想(2021年5月14日公表)は売上高55.6億円、営業利益6.0億円としていたものの、2021年9月14日に売上高40.0億円、営業利益2.2億円に大幅に引き下げた。修正理由は基本的に新型コロナウイルスの変異株出現が理由となっている。ただし、ニトリや良品計画(無印良品)、100均ショップのセリアなどは好調であり、コパだけ新型コロナウイルスの影響で大きく業績が悪化する合理的な理由は説明できないのが状況だ。

■コパの株価推移は?

 コパの時価総額は約30億円。新型コロナウイルスの影響という理由で売上規模が一気に下落してしまう事業モデルに投資家は大きく失望しているのが実情だ。かりに業績が一時的に回復しても、継続的に業績を向上できるビジネスモデルとは判断できにくいのではないだろうか。

 コパの財務諸表をみると、資本金と資本準備金はわずか8億円程度しかない。株主構成をみると、現時点でも創業者などが約7割を保有しており、上場時にそれほど処分していない。コパの財務体質は健全で、業績は一気に悪化したものの、利益剰余金は21億円あり、無借金で現預金を11億円ほど保有している。

 気になるのは棚卸資産を16億円も保有していること。年間売上高が38億円の企業が棚卸資産を16億円も保有していることは異常としか言いようがない。一般的に棚卸資産が大きく膨らんでいるのは会計としては要注意であり、合理的な説明が必要であるものの、決算説明資料をみると特に説明はない。いまのところ、様子見が無難ではないだろうか。

(画像1)コパの株価推移、下落トレンドがつづいている

以 上


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