ロボットによる業務自動化のRPAホールディングス(6572)、上昇トレンドはいつ?

 事務作業代行(自動化)の「BizRobo!(ビズロボ!)」などを展開するRPAホールディングス。2019年5月の上場来最高値では時価総額1,500億円を超えていたものの、上昇トレンドが終わり現在は株価741円(時価総額432億円)まで下落。AIやRPAなどのキーワードが話題を集め、将来の業績拡大以上に期待が織り込まれたRPAホールディングス。いまは期待が剥がれ落ちたものの、それでも時価総額は400億円を超える。株式評価に負けない業績を出すのはいつになるのか?上昇トレンドに戻るのか?

■基本情報(2020年7月3日時点)

  • 株価:741円
  • 時価総額:432億円
  • 予想PER:-(未定)
  • PBR:3.3倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:72.7%

■RPAホールディングスの業績動向は?

 RPAホールディングスの2020年2月期の売上高は101億円(前年比+23.0%)、営業利益4.7億円(前年比△50.7%)と大幅な減益となった。売上総利益は2019年2月期の30.9億円から33.7億円と+2.8億円と増加したものの、販売費・一般管理費が約7.5億円増加したことが減益となった大きな要因だ。販売費・一般管理費の内訳をみると、人件費・外注費で3.4億円の増、のれん償却費で2.3億円の増、その他で1.8億円の増となっている。決算説明資料を読むと「今後の成長の加速を企図した人材採用、広告宣伝投資・・・・」と記載がある。

 RPAホールディングスの事業は、アウトソーシング事業(売上高:約36%)、トランスフォーメーション事業(同:約62%)、その他(同:約2%)の3つにわかれている。このうち、アウトソーシング事業の損益悪化と、その他にあるRaaS事業の赤字拡大が減益の大きな要因だ。RaaS事業は売上高は22百万円であるものの、2020年2月期のセグメント損失は約3億円と先行投資段階の位置づけだ。

■RPAホールディングスの「のれん」

 RPAホールディングスで気になるのは業績悪化だけではない。2020年2月末の「のれん」の残高は13.5億円。前期の残高が11.9億円だったため、今期の償却分3.3億円の減少を考えると、「のれん」の1年間の増加額は約4.9億円。開示資料をたどったところ、2019年10月2日に「RPAホールディングスとCAMI&Co. RPA×IoT分野で資本業務提携 ~「BizRobo!」×「IoT-DX-Kit」の連携でデジタルトランスフォーメーション実現へ~」というニュースリリースを発見。

 具体的な資本提携の金額記載はないものの、株式会社 CAMI&Co.の株式を取得したと思われる。前年にくらべて投資有価証券が約7億円増加している。心配なのは、資本提携によりRPAホールディングスの持分法適用となり、決算を取り込み、表面上だけ事業が拡大しているように見えているリスクがある点だ。

■RPAホールディングスの事業内容は?

 RPAホールディングスの具体的な事業内容は?一言でいうと、ホワイトカラーの事務作業をロボット(Digital Labor)が代行する、という「BizRobo!」というサービスを提供している。国内1,500社以上にサービスを提供している。このサービスはロボットアウトソーシング事業として事業展開されていて、RPAホールディングスの売上高の36%を占めている。RPAテクノロジーズとRPAエンジニアリングで構成されている。

 もう一つは、売上高の62%を占めるロボットトランスフォーメーション事業だ。実はこの事業の内容は開示資料をみてもわかりにくい。決算説明資料の具体例で示されているのは、アフィリエイトビジネスの効率化。ロボットコーディネーターがアフィリエイトの代理店(エージェンシー)業務を代行するというもの。子会社のセグメントとディレクト、RPA BANKで構成されているが、ホームページなど見ても事業内容は紹介されていない。売上高の約6割を占める事業の具体的な内容がほとんど紹介されていないのは気になるところ。

■RPAホールディングスの株価推移は?

 RPAホールディングスの株価は下落傾向がつづいている。現在の時価総額は約430億円。正直、RPAホールディングスの成長性や株価の妥当性はわからない。たとえば、ロボットトランスフォーメーション事業など具体的な事業内容がホームページなどで開示されておらず妥当性を判断できないからだ。個人投資家でRPAホールディングスの事業内容をしっかり理解して投資している人はいないのではないか。

以 上

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