成長加速するも株価低迷のリックソフト、Atlassian(アトラシアン)の成長つづく!

 アトラシアン社のソフトウェアやSlack、Tableau(タブロー)などのクラウドサービスの導入支援をしているリックソフト。ソフトウェア開発ソフトのアトラシアン社の製品を展開していて、年間で20~25%の成長をつづけることを目指す。業績は堅調なものの、株価は低迷している。今後の業績と株価の行方は?

ソフト開発ツールのアトラシアン社の製品販売のリックソフト、ストック収益で安定成長!(2023年4月30日投稿)

アトラシアン製品などライセンス提供のリックソフト!ソフト問屋的な存在(2022年1月9日投稿)

■基本情報(2024年2月22日時点)

  • 株価:1,542円(10年来高値:9,325円)
  • 時価総額:70億円
  • 予想PER:35.0倍
  • PBR:2.71倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:44.3%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,004人(2023年2月28日時点)

■リックソフトの業績は?

 リックソフトの2024年2月期の第三四半期の売上高は53.0億円(前年比+34.2%増)、営業利益4.4億円(前年比+13.3%増)の増収増益。リックソフトの売上総利益率は+30.2%(前年は+34.6%)、営業利益率は+8.3%(前年は+9.8%)と利益率は悪化傾向。

 リックソフトの売上総利益は前年の13.7億円→16.0億円と+2.3億円の増加、販管費は前年の9.8億円→11.6億円と+1.8億円の増加となり、差し引きで+0.5億円の利益改善となった。

■リックソフトの事業状況は?

 リックソフトの売上高内訳をみると、ライセンスの売上高が全体の約81%となっている。売上高と利益をみていくと、Atlassianの売上高は好調であるものの、リックソフトの粗利としてはそれほど多くないのではないだろうか。おそらく、仲介手数料的な部分が残るのみで、利益率の高いビジネスではない可能性がある。

 一般的にソフトウェア事業であれば、売上総利益が伸びて、販管費の伸びがそれほど高くなく、一定以上の売上高規模になると爆発的に利益率が改善する。いっぽう、リックソフトは売上規模が大きくなっても、アトラシアン社に支払うライセンス許諾料などが高くなり、それほどリックソフトに利益が残らない契約になっていないだろうか。

 リックソフトの従業員数は129名。営業部門41名、エンジニア65名である。売上規模を考えると、エンジニアが少なく、稼ぎの多くは営業中心によるアトラシアン社のライセンス販売ではないだろうか。

 Rick Cloudという自社製品を販売しているものの、なかなか増加していないのではないか。

■リックソフトの財務状況は?

 リックソフトの2023年11月30日時点の財務諸表をみると、現預金は30.5億円、前払費用15.8億円となっている。負債をみると、有利子負債はゼロ。契約負債(前受金)が22.9億円となっている。財務的には健全であるものの、ソフトウェアの小売のような位置づけのビジネスであれば、今後の急成長を期待するのは難しいだろう。

■リックソフトの株価推移は?

 リックソフトの時価総額は約70億円。上場時に大きく株価はあがったものの、そこから右肩さがりがつづいている。リックソフトは思いのほか、エンジニアが少なく、ソフトウェア会社ではなく、ソフトウェア販売会社であれば成長による株価急騰を期待するのは畑違いかもしれない。

(画像1)リックソフトの株価推移

以 上

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