好調なヘルスビッグデータ、JMDCの業績と株価の行方は?

 ヘルスケアIT事業をおこなっているJMDC。新型コロナウイルスの感染拡大により医薬情報担当者(MR)が医療機関への訪問自粛を求められるなか、製薬会社はヘルスビッグデータの活用を強化している。JMDCはこれらの追い風のなか、前年同期比+30%を超える事業規模の拡大を行い、業績は絶好調だ。JMDCの業績と株価の行方はどうなるのか?

医療ITサービスのJMDC、医療データの活用と遠隔画像診断サービス!(2021年1月24日投稿)

■基本情報(2021年3月5日時点)

  • 株価:5,180円(10年来高値:6,250円)
  • 時価総額:2,882億円
  • 予想PER:137.2倍
  • PBR:10.85倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:48.9%
  • 会計基準:IFRS基準

■JMDCの業績は?

 JMDCの2021年3月期の第三四半期の売上高は116億円(前年同期比+31.1%増)、営業利益24.2億円(前年同期比+63.7%増)の大幅な増収増益となった。JMDCの売上総利益率は+57%(前年同期は+54.3%)、営業利益率は+21%(前年同期は+17%)と改善している。

■業績を引っ張るのはヘルスビッグデータ事業!

 JMDCの業績を引っ張っているのはヘルスビッグデータ事業だ。売上高は前年同期比で+78%の増加となり、EBITDAも同様に伸びている。JMDCはもともとはオリンパスの子会社が前身であり、ヘルスケア分野に強かったオリンパスの遺伝子を見事に引き継いでいる。コロナ禍で製薬会社が従来と同じように医療機関への訪問ができないなか、JMDCのもつヘルスビッグデータに資金を投入している格好だ。

 いっぽうで、遠隔医療はエムスリー、メドピア、メドレーなど競争がはげしく、売上高は前年同期比+2%の増収にとどまっている。ヘルスビッグデータの分野ではメディカル・データ・ビジョン(MDV)、エムスリー、メドピア、ケアネットなどが競合にあたるが、製薬会社の資金が大きいため、各社ともに事業規模が伸びている状況だ。

■JMDCの株価の行方は?

 JMDCの株価は横ばいがつづいている。ヘルスケアIT企業(エムスリー、メドピア、メドレー、ケアネットなど)の株価も高値圏でもみ合いがつづいており、この1年の上昇トレンドが終わった可能性があるので注意が必要だ。JMDCはヘルスビッグデータの成長性が高いため、株価の調整を経て再び上昇トレンドに入れるかどうかは、成長性の維持がどこまで続くかがポイントになりそうだ。株価指標的には予想PERは100倍を超えており、けっして割安な水準でないことは明白だ。

(画像3)JMDCの株価推移

以 上

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