データ活用コンサルのブレインパッド、DXの追い風に業績好調も株価下落!

 データ活用を中心にビッグデータ、AI、IoTなど時代ごとのキーワードは変わるものの、データ活用にこだわったサービス・コンサルを提供しているブレインパッド。それほど表には出てこない企業であるものの、DXを追い風に業績は好調だ。ブレインパッドの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年8月15日時点)

  • 株価:1,078円(10年来高値:3,100円)
  • 時価総額:240億円
  • 予想PER:29.5倍
  • PBR:4.87倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:78.8%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:3,657人(2021年6月30日時点)

■ブレインパッドの業績は?

 ブレインパッドの2022年6月期の売上高は85.6億円(前年比+20.6%増)、営業利益11.4億円(前年比+36.0%増)の増収増益。ブレインパッドの売上総利益率は+45.3%(前年同期は+44.3%)、営業利益率は+13.4%(前年は+11.9%)と改善傾向となっている。

 ブレインパッドの売上総利益は38.8億円(前年は31.5億円)と約7億円増加させ、販売管理費は23億円→27.3億円と約4億円の増加にとどまったため、差額の3億円が増益となった。

 ブレインパッドは2004年設立で従業員数は503名。2011年9月に東証マザーズに上場し、2013年7月に早々と東証一部に変更している。データ活用やデータ分析・予測などの関連では、オロ、コンサル関係ではベイカレント・コンサルティング、プロジェクトカンパニー、シグマクシスなどが競合他社としてイメージされる。

クラウド型ERPソフトとWeb活用マーケティング支援のオロ(3983)、時代にマッチしたビジネス!(2020年7月12日投稿)

DXコンサルティングのベイカレント、業績好調つづく!(2021年10月23日投稿)

成長性高いプロジェクトカンパニー、DX特需を取り込み高い成長率維持!(2022年5月7日投稿)

経営コンサルのシグマクシス・ホールディングス、DX需要を取り込み成長つづく!(2022年5月4日投稿)

■ブレインパッドの事業内容は?

 ブレインパッドはプロフェッショナルサービス事業とプロダクト事業の2つの柱を行っている。プロフェッショナル事業は売上高60.8億円、プロダクト事業は売上高24.9億円となっている。

 プロフェッショナル事業はデータ分析、システム開発を含むコンサルティング事業だ。顧客の求めるデジタル化を支援するサービスとして2022年6月期は特に増加したセグメント。

 プロダクト事業は自社製品や他社製品(tableauなど)の提供を通じて月額課金のライセンス収入をもらうストック型のビジネスモデル。

■気になる事業状況は?

 ブレインパッドの株価がさえない。その理由は2つあり、今期の業績予想が低いこと、もう一つは2022年6月期の4Qの売上高が四半期比で減少している点だ。1Qの売上高は20.2億円、2Qは22.7億円、3Qは22.0億円、4Qは20.7億円と4Qで売上高が減少している。過年度のトレンドをみても、4Qの売上高が一番大きい傾向があった。なお、増収は創業以来19期連続だ。

 もう一つ気になるのは、顧客数が減少している点だ。現在の顧客数は465社で、2019年6月期は505社いたものの、10%くらい減少している。ただし、案件規模別では1億円以上の大口顧客の売上高が増加しており、そちらに経営資源(人材)を振り分けているとも考えられる。

 従業員数はほぼ毎年、増加しており、現在は503名。退職率は10%程度ということで、年間で50名くらいが転職していると考えると、従業員に求めるレベルが高いと言えるだろう。なお、ブレインパッドの平均給与は平均年齢35.1歳で721万円と決して低い水準ではない。

■2022年6月期の4Qの利益悪化の言い訳は?

 ブレインパッドは4Q利益の悪化の理由を説明しており、売上高の減少が一番大きい。売上高減少の理由としては案件の期ズレが複数発生したとしており、本当であれば2023年6月期の1Qまたは2Qでその分の売上高が膨れることになるが、よくある言い訳のひとつだろう。

 もしくは、ブレインパッド自体が目標売上高・利益に到達しているため、あえて売上計上を遅らせた可能性もある。そのほかにも、従業員の人件費増、円安、オフィス移転62百万円など記載されている。

■ブレインパッドの財務諸表は?

 ブレインパッドの自己資本比率は78.8%と優良だ。現預金を29億円もっており、有利子負債は当然ゼロ。配当をまったくしていないため、これまでの利益はどこにいっているのか?

 今期、建物が約3億円ほど増えており、本社移転したときの内装費用と思われる。これまでの白金台本社と目黒オフィスは閉鎖して、六本木ティーキューブに集約。かなりこだわった内装を施しており、それらの費用と思われる。資産除去債務を新たに1.5億円計上しており、将来の原状回復費用の引き当てを計上している。

 なお、六本木ティーキューブはSBI証券、富士ゼロックス、双日食料、三光汽船、サムスングループなどが入居している。

■2023年6月期の業績予想は?

 ブレインパッドの2023年6月期の業績予想は売上高103億円、営業利益11億円と増収減益の見通し。気になるのは第2四半期も公表しており、売上高47.5億円、営業利益3.4億円と利益規模が非常に小さい。

 よくあるケースとして、保守的に公表しておき、上方修正するパターンと実態を反映したパターン(下期は具体的な策はないが、それほど減益を見せられない)。ブレインパッドの場合は、DX需要は世の中的に多いので、どちらのパターンであるのか全く読めないのが実情だ。

■ブレインパッドの株価推移は?

 ブレインパッドは2017年頃は1株あたり400円前後と今の半値以下。2017年6月期は売上高35.3億円、営業利益1.5億円と非常に小さい規模だった。いまでは売上高は倍以上、営業利益は5倍以上まで増加。株価は一時、5~7倍くらいまで上昇している。

 ブレインパッドの事業領域の需要は大きいと思うものの、データサイエンティストの育成や採用をしっかりできるかどうかにかかっている。新卒を41名採用しており、従業員増が売上増につながるだろう。株価は様子見がよいかもしれない。

(画像1)ブレインパッドの株価推移

以 上

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