クラウド型ERPソフトとWeb活用マーケティング支援のオロ(3983)、時代にマッチしたビジネス!

 自社開発のクラウド型ERPソフト「ZAC」やWebを活用したマーケティング支援を提供するオロ。一般消費者には馴染みのうすい企業であるものの、年間10%を超える成長をつづけている。最近は「クラウド」や「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が株式市場では注目を集めるキーワードになっているが、オロはまさに時代にマッチした企業のひとつ。オロの快進撃はどこまで続くのだろうか?

■基本情報(2020年7月10日時点)

  • 株価:2,735円
  • 時価総額:454億円
  • 予想PER:36.7倍
  • PBR:7.25倍
  • 予想配当利回り:0.32%
  • 自己資本比率:82.5%
  • 会計基準:日本基準

■オロの業績は?セグメント別には?

 オロの2020年12月期の第一四半期の売上高は12.5億円(前年同期比+9.0%)、営業利益は3.6億円(前年同期比+34.1%)の増収増益。営業利益率は28.9%と低くない。オロはクラウドソリューション事業(CS事業)とデジタルトランスフォーメーション事業(DX事業)の2つに分けている。CS事業の売上高は約7億円、営業利益は3億円。DX事業は売上高5.6億円、営業利益は0.6億円。現在はCS事業で稼いでいる構造だ。売上高はだいたいCS事業とDX事業だ半々という感じ。

■オロの事業内容は?CS事業とDX事業

 オロのCS事業は、プロジェクト型ビジネスに特化したクラウド型ERP「ZAC」を提供している。公式サイトによると、面白法人カヤック、JALインフォテック、住友林業情報システムなど、情報通信(IT)企業のプロジェクト管理に利用されているケースが多い。このCS事業は、新規顧客(ライセンス売上など)、既存顧客(スポット、ストック)の3つに収益は分かれる。継続課金(サブスク型)であるストック型ビジネスの割合はだいたい半分程度となっている。

 DX事業は、話題の集める「デジタルトランスフォーメーション」に関係するサービスだ。「デジタルトランスフォーメーション」とは、デジタル技術を活用した業務効率化・マーケティング効率化などの生産性の向上だけでなく、新しい価値や体験の提供するもの。オロでは、たとえば、イオンペット社に対して、ペットオーナーと企業をつなぐデジタルツールを提供したり、Peach Aviation(ピーチ航空)にスマホの新しい航空券予約システムを提供している。顧客企業がこれまでのWebサービスをより進化させたもの、他社と差別化したいものについて、オロはWeb技術を活用して支援している。

■オロの強さがわからない、今後の成長は?

 オロの業績は好調であるものの、オロが狙う市場規模は個人投資家に見えてこない。現在、年間10%を超える成長をつづけているものの、売上高は50億円レベル。オロの提供しているサービスが今後も必要とされるのか見極める必要がある。たとえば、会計ソフトを提供しているオービックビジネスコンサルタント、PCAなどは会計ソフトが今後もなくなることがないので、投資家は市場規模のイメージを持つことができる。アスクル、MonotaRo(モノタロウ)、ZOZO、ロコンドなどのネット通販サイトも市場の成長と顧客の姿が見えてくる。

 いっぽう、オロの事業はこれから5年、10年と伸びる予感はするものの、市場が広がっていくか想像できない。IR資料を見ても、個人投資家がオロの成長性に確信をもつことができる材料はそれほど多くない。もう少し、IRで将来のマーケットやオロの強みを公開してほしいところだ。

■オロの株価推移は?

 オロの時価総額は約450億円。名刺アプリのSansan(サンサン)は時価総額1,600億円、経費精算ソフト「楽楽精算」を提供するラクスは時価総額1,700億円。営業利益額をみると、オロのほうが営業利益率も営業利益額も勝っている。オロがSansanやラクスより劣っているのは、投資家に対する将来像のイメージを持たせる点。

 たとえば、Sansanは「名刺アプリにより営業活動を支援する」とわかりやすい。ラクスは「クラウド型の経費精算システムで業務の効率化に寄与する」とサービスと顧客企業の求めるニーズがわかりやすい。オロは投資家に対するIRを工夫することで、現在の株式市場でより評価される可能性は秘めている。今の段階ではオロの株価の妥当性を判断できる人はそれほど多くない。

以 上

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