「eギフトプラットフォーム」のギフティ、地域通貨サービス特需消える!

 「eギフトプラットフォーム」を基盤にギフト市場のデジタル化サービスで市場を切り開いているギフティ(giftee)。2020年の後半からGo toキャンペーンのプレミアム商品券(電子版)の追い風で特需が発生。売上高の急増とともに株価は急上昇したものの、新型コロナウイルスの悪化によりGo Toキャンペーンが中止となり、2021年11月12日に大幅な下方修正を発表。結果、わずか4カ月ほどで株価は4分の1くらいまで下落。ギフティの業績と株価はどうなるのか?

eギフトのギフティ(giftee)、商品券、サンプリング、贈り物のデジタル化推進!(2021年4月11日投稿)

■基本情報(2022年2月25日時点)

  • 株価:836円(10年来高値:4,870円)
  • 時価総額:240億円
  • 予想PER:111.9倍
  • PBR:3.15倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:40.3%
  • 会計基準:日本基準

■ギフティの業績は?

 ギフティの2021年12月期の売上高は37.3億円(前年比+20.9%増)、営業利益3.1億円(前年比△72.1%減)の増収減益となった。ギフティの売上総利益率は+85.0%(前年は+84.8%)、営業利益率は+8.3%(前年は+35.9%)。

 ギフティはGo Toキャンペーンのプレミアム商品券(地域通貨)を電子的に流通させるサービスで一時的に利益を出した。その特需がつづく前提で2021年12月の業績予想を出し、新型コロナウイルスの蔓延によりGo Toキャンペーンが延期になり、特需が消えて、業績の下方修正をすることとなった。今後もGo Toキャンペーンのプレミアム商品券の特需は出てくるものの、あくまで一過性のものであり、時価総額1,000億円を超える株価に戻ることは難しいと思われる。

■ギフティの資金調達!

 ギフティの決算説明資料をみると、プレミアム商品券(地域通貨)による特需で業績が急成長しているように見えることがわかる。ギフティは特需剥落を見越して、2021年12月に約100億円の資金調達を実施している。具体的には増資で約30億円、新株予約権付社債で70億円を調達。結果、2021年12月末時点で現預金110億円を保有し、当面は資金繰りに問題が生じる可能性は少ない。

■ソウ・エクスペリエンスの買収

 ギフティは2021年3月にソウ・エクスペリエンスというデジタルギフトサービスの会社を約15億円で買収。ギフティとソウがどこまで業務上のシナジーがあるかわからないものの、ソウの売上高が13.7億円ほどあり、成長トレンドを演出するギフティには必要な買収だったのだろう。

 ギフティはEBITDAという営業利益+減価償却費というKPI(業績指標)を開示しており、償却前のEBITDAでは2021年12月期に+7.1億円(営業利益は+3.1億円)とアピールしている。ただし、プレミアム商品券の特需がなければ、高い成長性と収益力を出せないことがばれてしまっており、ギフティの株に買いが集まることは難しいかもしれない。

■ギフティの事業概要は?

 ギフティはeギフトという電子ギフトサービスを展開している。いまの世の中、ほとんどの人がスマートフォンを持っているため、店舗のおまけや販促活動でもデジタルクーポン(eギフト)をつかったほうがコストを削減できるケースが多い。

 ギフティはその仕組みである「eギフトプラットフォーム」を企業に提供したり、自ら会員数184万人のギフトサービスを展開している。いまの世の中、住所は知らないけど、LINEの友達登録はしているケースは多く、デジタルでプレゼントを贈ったほうが円滑に進むケースが多い。ただし、デジタルギフトの市場がどこまで広がるか、見極められない点もある。

■ギフティの利益モデルは?

 ギフティの売上総利益率は+80%を超えており、ITサービス企業として収益力は高い。ただし、販管費の伸びも高く年間で28.6億円(前年は15億円)まで増えている。従業員数は2020年3月時点で99名だったものの、2021年12月時点で210名まで増加。売上高は2019年12月期の30.8億円から2021年12月期の37.3億円と+20%くらいの伸びとなっている。

■ギフティの株価推移は?

 ギフティの時価総額は240億円。もっとも高かったときは時価総額1,200億円だった。上場来高値は4,870円で、現在の株価は約830円。上場来高値から6分の1まで下落している。ギフティの株価が下落し過ぎているというよりは、プレミアム商品券の特需で成長度合いが過度に織り込まれ過ぎていた。

 ギフティの株価チャートをみると、大きく下落して割安なように見えるものの、上場来高値を超えることは数年~数十年先になるかもしれない。新株予約権付社債(Convertible Bond)で調達した70億円は1株あたり3,551円の転換価額となっており、社債から株式に転換される可能性は低い。2026年満期ユーロ円建て債券であり、実質的に円建て債券のため為替リスクがない点が幸いだ(円安方向になるリスクあるので)。

(画像1)ギフティの株価推移

以 上

 

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