M&A仲介のストライク、業績は好調!M&Aマッチングサイト「SMART」運営

 M&A仲介のストライク。日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズにつづく中堅・中小企業(年商1~100億円)向けのM&A仲介で事業規模を拡大している。1997年7月設立で、従業員数は2022年3月末時点で211名。業界トップの日本M&Aセンターの従業員数が900名を超えるため、規模では見劣りする。いかにリーディングカンパニーを追うのか?

■基本情報(2022年5月2日時点)

  • 株価:3,895円(10年来高値:7,020円)
  • 時価総額:754億円
  • 予想PER:27.1倍
  • PBR:7.91倍
  • 予想配当利回り:0.92%
  • 自己資本比率:83.1%
  • 会計基準:日本基準

■ストライクの業績は?

 ストライクの2022年9月期の第二四半期の売上高は52.2億円(前年同期比+33.8%増)、営業利益19.9億円(前年同期比+34.6%増)の増収増益。売上総利益率は+66.5%(前年同期は+62.1%)、営業利益率は+38.2%(前年同期は+38.0%)と高い水準となっている。

 同業他社と同様に売上総利益率は60%を超えており、売上規模が一定の大きさまで拡大すると爆発的に営業利益が上昇するビジネスモデルとなっている。設備投資が不要で、販管費が低いことが特徴だ。従業員の約8割はコンサルタントのため、メーカーなどと異なり、ほぼ利益を稼ぐことに特化した組織・利益構造と言えるだろう。

■ストライクの事業モデルは?

 ストライクは中堅・中小企業向けのM&A仲介をメインの事業としており、売り手・買い手の双方から手数料を成約報酬として徴収する事業モデル。業界トップの日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズと大きく変わらない。2010年代以降は事業継承を中心に中堅・中小のM&Aが活発になり、業界全体が大きく伸びたことが成長の要因。

M&A仲介トップの日本M&Aセンターホールディングス、成長つづく!(2022年5月3日投稿)

M&Aキャピタルパートナーズ、中小企業のM&A仲介で成長つづける!(2022年5月3日投稿)

 M&Aマッチングサービスの「M&A 市場SMART」というサイトを運営しており、匿名であるものの、所在地、従業員数、直近売上高、事業概要などを検索できる仕組みを構築している。どこまで買い手企業の発掘に貢献しているかは不明であるものの、買い手企業募集の1つの手段としては選択肢を増やしている。

 新型コロナウイルス拡大の影響もほぼ受けていない業界だ。現在の受託残件数(いわゆる受注残高)は650案件あり、過去最高の受注残を抱えている状況で、今期の業績も堅調であることが見えている。ストライクの1件あたりの平均報酬単価は52.7百万円で、大型案件の有無によって多少は変動するものの、1案件ごとの単価が高いのが特徴。不動産売買や人材紹介などのマッチングビジネスよりも報酬単価は大きい。

■2022年9月期の業績予想は?

 2022年9月期の業績予想は、売上高112億円(前年同期比+34.4%増)、営業利益42.1億円(前年同期比+32.2%増)、営業利益率+37.6%と高い水準となっている。予定している成約組数は206件で、1組数あたり54.4百万円の平均報酬単価の計算になる。

 ストライクの成約している業種は、製造業、IT、建設など多種多様。後継者不足による事業継承が約5割と言われている。後継者不足のため、どこかのタイミング事業譲渡をしたいと考える経営者が少なくない。なお、ストライクの平均年収は約1,500万円(平均年齢36.2歳)と高収入になっている。同業他社と同様に、ベース年収+インセンティブ(成果報酬)となり、成約手数料の約20%が給与に反映されると言われている。手数料が50百万円の案件であれば、その20%の10百万円をチームで分ける計算となる。

■ストライクの株価推移は?

 ストライクの時価総額は約750億円。現在は年初来安値の価格帯であるものの、株価指標的には割高・割安どちらとも言えない株価と言える。サブスクリプション型ビジネスモデルではないため、いかにフロー収益を増やすがポイントで、いつかは前年比マイナスになることも起こるだろう。

 ストライクの株価チャートをみると、ほぼM&Aキャピタルパートナーズと同じような大きな変動を示している。業績的にはここ10年は右肩あがりで成長しているものの、株価は疑心暗鬼な投資家心理を示した形だ。ストライクの株価がこれから上昇するかというより、M&A仲介の市場がどこまで拡大するかが株価の先行きを考えるのに有効だろう。

 すでに上場時から4~7倍くらいまで株価は上昇しており、いまから数倍に株価上昇を期待する銘柄ではないかもしれない(もちろん、まだまだM&A仲介市場は伸びる可能性はあるので、断定はできない)。

(画像1)ストライクの株価推移、変動が激しい

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする