中期経営計画(21年~25年)発表のベイカレント・コンサルティング、DX需要で業績は絶好調!

 デジタル関連コンサルティングなどAI・IoT・RPAなどのの最新のデジタル技術を活用した事業戦略策定などに注力しているベイカレント・コンサルティング。1998年創業。新型コロナウイルスの拡大により、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)へのニーズが急増し、ベイカレントはうまく取り込むことができた。株価は上場来最高値圏。ベイカレントの業績と株価の行方はどうなるのか?

日系のベイカレント・コンサルティング、DX需要取り込み業績好調!株価も上昇(2021年2月6日投稿)

■基本情報(2021年5月7日時点)

  • 株価:33,050円(10年来高値:33,100円)
  • 時価総額:5,136億円
  • 予想PER:44倍
  • PBR:16.87倍
  • 予想配当利回り:0.57%
  • 自己資本比率:65.3%
  • 会計基準:IFRS基準

■ベイカレントの業績は?

 ベイカレントの2021年2月期の売上高は429億円(前年比+30%増)、営業利益136億円(前年比+68.6%増)の増収増益となった。ベイカレントの売上総利益率は+47.2%(前年は+43.4%)、営業利益率は+31.6%(前年は+24.4%)と改善がつづく。ベイカレントの売上総利益率が高いため、売上規模の増加により営業利益率は一気に上昇する仕組みだ。

 決算短信を見ると、全所属のコンサルタントのプロジェクト参画率(稼働率)は上期は80%台後半、下期は90%台前半と高い水準となっている。ベイカレントのコンサルタントは約2,000名で、前年に約24%の増員をしている。コロナ禍で受注がさがるのではなく、DX改革など高いニーズによりベイカレントの受注を押し上げた形だ。

■ベイカレントの事業内容は?

 ベイカレントは日系のコンサルティング会社。外資系であれば、マッキンゼーやボストンコンサルティングなどが有名だ。ベイカレントの経営陣の経歴をみると、マッキンゼーやボストンコンサルティング、アクセンチュアなどの出身者も少なくない。

 ベイカレントの関わる案件としては、「スマートシティの将来像の具体化および自社サービスの展開戦略」、「既存ノウハウと最新テクノロジーの組み合わせによる事業推進」、「AIを活用した音声認識による応対業務自動化」など最新のデジタル技術の導入にかかわるケースも多い。ベイカレント自身、DXへの対応に力を入れており、「DX対応と言えばベイカレント」という売り込みの意気込みがIR資料から伝わってくる。

 ベイカレントの特徴としては、セクター別に部門を分けない「ワンプール制」を取っている点だ。「ワンプール制」は、どのプロジェクトにも参加可能なベイカレントの組織戦略のひとつ。さまざまなセクターのプロジェクトを経験して、人材を育てる仕組みになっている。

■ベイカレントの直近3年間の成果は?

 ベイカレントは2018年12月に東証マザーズから東証一部に市場変更。ベイカレントの売上規模は2018年2月期の204億円から2021年2月期の429億円に倍増。EBITDAは44億円から139億円に約4倍となった。時価総額は500億円から5,000億円に10倍。年間配当は40円から170円に大幅増となった。

 これらの数値を結果から見ると数年前に投資しておけばと思えるものの、未来は予測できても、なかなか信じることができないもの。ずっとベイカレントの株をホールドしている個人投資家はそれほど多くないのではないか。ベイカレントは2016年に東証マザーズに上場したときは、のれんの減損など業績面で心配される点が多かったが、それらを乗りこえて優良企業へと成長した。

■ベイカレントの新しい中期経営計画は?

 ベイカレントの21年度~25年度までの新しい5カ年計画(中期経営計画)によると、2025年度では売上高1,000億円、EBITDA300億円を目標としている。5年間でいまの業績の2倍超の規模まで拡大させる計画だ。新しい中期経営計画を達成するために、社員4,000名体制を構築する計画だ。この計画が実現できたときには時価総額1兆円が見えてくる。

 ベイカレントにとって課題も少なくない。高度な能力や最新のデジタル技術の理解が求められるコンサルティング会社で、4,000名規模の組織を本当に構築できるのか大きな課題ではある。たとえば、日本M&Aセンター(時価総額9,000億円、売上高360億円)の社員数は約650名。IRジャパン(時価総額2,400億円、売上高100億円)の社員数は約150名。ベイカレントの現在の社員数は約2,000名で、本当に従業員を倍増できるか大きなハードルとなるだろう。

株主(投資家)向けコンサルティングのIRジャパン(アイ・アールジャパン)、好調な業績!(2021年2月6日投稿)

■ベイカレントの株価の行方は?

 ベイカレントの時価総額は約5,000億円。株価チャートを見ると、株価は右肩あがりに急騰している。すでに投資している人は流れにのったままで良いものの、あたらしく購入する場合は下落リスクに注意が必要だ。ベイカレントの2022年2月期の業績予想(売上高510億円、営業利益160億円)は日本M&Aセンター(時価総額:9,000億円)に引けを取らないレベル。ただし、株価が反転した場合は、20%~30%くらい調整してもおかしくない。調整するまで様子見が無難だ。

 ベイカレントは受注残高を公表していないため、2022年2月期の予想にどこまで自信があるか確認できない。もうひとつ心配なのは、時価総額が高いため増資の可能性も起こりえる。2020年度はfreee(フリー)、ライフネット生命、朝日インテック、マクアケ、楽天、BASE(ベース)、SHIFTなど株高を活用して増資をしたケースは少なくない。ベイカレントが将来の成長のため増資をしてもおかしくない。

(画像1)ベイカレントの株価推移

以 上

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