住宅業界の需要悪化か?アールプランナーが赤字突入、浮上の見通しは?

 東海地方を中心に戸建の注文住宅と分譲住宅を展開しているアールプランナー。売上高、総販売棟数は過去最高であるものの、営業利益が大きく悪化。受注棟数も順調に推移しているものの、値引き販売の影響で利益がでない。コロナ禍で価格が高騰した戸建も値下げをする段階に入り、当面は高値の在庫の赤字販売になりそうだ。今後の業績と株価の行方は?

東海中心のアールプランナー、材料費高騰と円安で業績は悪化!(2022年9月10日投稿)

分譲戸建て販売のアールプランナー!資材価格上昇のマイナス影響(2022年6月18日投稿)

■基本情報(2023年12月15日時点)

  • 株価:586円(10年来高値:2,837円)
  • 時価総額:31億円
  • 予想PER:24.1倍
  • PBR:0.77倍
  • 予想配当利回り:2.55%
  • 自己資本比率:15.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,682人(2023年1月31日時点)

■アールプランナーの業績は?

 アールプランナーの2024年1月期の第三四半期の売上高は219億円(前年比+0.4%増)、営業利益△43百万円(前年は+1.6億円)の増収赤字転落となった。アールプランナーの売上総利益率は+14.3%(前年は+15.0%)と悪化している。

 アールプランナーの売上総利益は前年の32.7億円→31.3億円と△1.4億円の減少、販管費は前年の31.2億円→31.7億円と+0.5億円の増加となり、差し引きで△1.9億円の営業利益の減となった。

 四半期別の損益をみていくと、売上規模は維持しているものの、売上総利益率は2年前の17%~19%から大きく悪化し、現在は13%~15%に落ち込んでいる。販管費は2年前とくらべて四半期で1~2億円の増加となり、年間で10億円弱の増加となっている。つまり、利益がでにくい体制になっている。

■アールプランナーの事業状況は?

 アールプランナーの販売棟数は堅調であるものの、最近の戸建コストの上昇で仕入価格が高くなっているものの、高い価格で顧客が買わず、値下げ販売している状況だ。

 また、販管費の増加は、東海エリアや首都圏エリアで展示場などのギャラリーをオープンしていることがコスト増になっている。この販管費の増加をカバーする売上総利益の増加があればよいものの、売上総利益の減少により赤字に陥っているのが現状だ。

 アールプランナーは2023年12月14日の決算発表と合わせて、通期業績の下方修正を発表している。売上高は313億円(予想比△7.9%減)、営業利益4.0億円(予想比△51.8%減)。しかしながら、第三四半期までに赤字となっており、投資家としては、この営業利益の達成も信じられないというのが本音だろう。

■アールプランナーの財務状況は?

 アールプランナーの2023年10月31日時点の財務諸表をみると、現預金は34億円、在庫は190億円。負債は、有利子負債が約160億円、前受金30億円となっている。不動産販売企業の財務諸表としては、よくある構造であるものの、市場金利の上昇により、自社の支払利息増、顧客の購入マインド減とダブルパンチで効いてくるので、きびしい状況と言えるだろう。

 アールプランナーにかぎらず、不動産業界は、かなり負債を効かしたレバレッジな経営をしているため、販売が落ちると、一気に資金が回らなくなる可能性があることに注意が必要だ。いまのアールプランナーの時価総額は約30億円と低く、増資による資金調達もほとんどできない状況だ。

■アールプランナーの株価推移は?

 アールプランナーの時価総額は約30億円。上場後につけた上場来最安値の水準に近づいてきている。株価チャートをみても、含み損を抱えている投資家が多いだろう。現状は配当を維持しているものの、修正後の予想が未達であれば、無配に転落可能性もある。当面は厳しい状況が続きそうだ。

(画像1)アールプランナーの株価推移

以 上

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