再エネの総合企業レノバ、カーボンニュートラルのニーズ増で成長つづく!

 太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギー事業を展開しているレノバ。コーポレートPPA(電力購入契約)や環境価値のニーズ高まりを受けて、さまざまなビジネスへの派生が予見できる。レノバで心配なのは、金利動向だ。有利子負債が大きく、金利上昇により利益が吹っ飛ぶ可能性があるからだ。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?

過去最高益のレノバ、特殊要因による一時利益約100億円計上!(2021年5月16日投稿)

数年先の成長が見えているレノバ(9519)、再生可能エネルギーに特化!(2020年10月4日投稿)

■基本情報(2023年12月8日時点)

  • 株価:1,077円(10年来高値:6,390円)
  • 時価総額:853億円
  • 予想PER:6.9倍
  • PBR:1.38倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:19.4%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:22,383人(2023年3月31日時点)

■レノバの業績は?

 レノバの2024年3月期の第二四半期の売上高は185億円(前年比+7.0%増)、営業利益62.3億円(前年比△16.1%減)の増収減益。昨年は四日市ソーラーの一部持分売却益・評価益などの特殊要因があり、その38.4億円を除くと、前年比から増益となる。

 レノバは売上総利益を表示していないため、粗利の利益率や規模感が見えない。レノバは非支配持分という自社以外が権益をもっている発電所が多い。そのため、営業利益、経常利益ともに、すべて自社に帰属するわけではないことに注意が必要だ。重視すべきは親会社の所有者に帰属する当期利益であり、1株あたりのEPSに注意を払う必要がある。

■レノバの事業状況は?

 レノバはメガソーラー、バイオマス発電、陸上風力、蓄電池など再エネ関係の多方面の事業を展開している。2023年11月以降に段階的に建設中事業の運転開始がスタートする予定だ。

 グリーントランスフォーメーションとして、PPA(電力購入契約)としてバーチャルPPA、オンサイトPPA、フィジカルPPAなど、さまざまなサービスも提供を検討している。

■レノバの財務状況は?

 レノバの2023年9月30日時点の財務諸表をみると、現預金は196億円、引出制限付預金は280億円、棚卸28億円、有形固定資産は1,430億円、無形資産354億円などとなっている。負債は、有利子負債が約1,900億円、繰延税金負債が179億円など。有利子負債が多く、将来的に金利が上昇するとレノバの収益が悪化することに注意が必要だ。仮に、金利が1%上昇すると、年間利益は約20億円悪化する。

 レノバのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは補償金の受取25億円など合わせて+107億円、投資CFは△37億円、財務CFは長期借入金の返済などにより△86億円。営業CF+投資CFのフリーキャッシュフローがプラスで推移しているのは安心感を持てる。

■レノバの株価推移は?

 レノバの時価総額は約850億円。2021年は再生可能エネルギー関係の株価が暴騰した。世の中で再エネのニーズは変わらないものの、株式市場のテーマとしては人気がなくなっている状況だ。しかしながら、いずれ再びテーマとして注目を浴びることは間違いないだろう。

 レノバは太陽光発電・バイオマス発電だけでなく、さまざまな再エネに取り組んでおり、再び注目されることは間違いない。いっぽうで、どこまで株価が落ちるかも見えない。日本の金利が上昇した場合、業績面では大きくマイナスに作用する。本来は2021年の株価が高騰したときに、株式市場で増資をしておくべきだったように見えるが、どうなるだろうか?

(画像1)レノバの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする