カタログ通販やネット通販を中心にビジネスを展開しているベルーナ。ファッション、雑貨、インテリアといった総合通販事業は「ベルーナ」「NOAN(ノアン)」「RyuRyumall」を展開し、専門通販事業としては食料品では「ベルーナグルメ」「My Wine CLUB」、化粧品では「OZIO」「なちゅライフ」などを展開している。それほどベルーナの企業名は浸透していないかもしれないが、どこかで目にしたことがある通販カタログ雑誌やサービスをベルーナが展開していた、と気づくことがあるかもしれない。コロナ禍の特需で業績は絶好調のベルーナ。株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2020年10月30日時点)
- 株価:849円
- 時価総額:826億円
- 予想PER:8.6倍
- PBR:0.79倍
- 予想配当利回り:1.88%
- 自己資本比率:45.9%
- 会計基準:日本基準
■ベルーナの業績は?
千趣会の「ベルメゾン」やニッセンなどと並びカタログ通販で存在感ある事業を展開しているベルーナ。ベルーナの2021年3月期の第二四半期の売上高は999.4億円(前年同期比+5.7%)、営業利益45.7億円(前年同期比+18.2%)と増収増益となった。新型コロナウイルスの影響による巣ごもり特需により総合通販や専門通販が前年対比で売上拡大していることが増収増益の要因だ。
このような事業環境で前年を上回る業績を出していることは素晴らしいものの、営業利益率が5%というのは悩ましい。営業利益率の改善が進めば、株価は大きく飛躍するが、利益率の改善に向けた戦略はいまのところ見えてこない。
■ベルーナのセグメント別の業績は?
ベルーナはコロナ禍の巣ごもり特需を取り込み、総合通販・専門通販の売上高が大きく伸びたことで営業利益額は改善している。特に、専門通販は営業利益率8.8%と他の事業にくらべて高いため、ベルーナの2Qの営業利益面の増益を大きく引っ張る結果となった。
いっぽう、店舗販売事業は売上高は前年同期比△34.7%の減少、営業利益は△15.9億円の赤字となった。着物などを扱う和装店舗の「BANKAN」「わものや」「さが美」、アパレル店舗の「BELLUNA」などは多くの店舗で休業をせざる得なかったことが大きく影響している。
プロパティ事業では、「ルグラン旧軽井沢」「京都グランベルホテル」などの不動産事業をおこなっているが、こちらも前年同期比△30.1%の売上高減少となり、赤字に転落している。しかしながら、ベルーナの中心事業はカタログ通販・ネット通販であり、この特需を見事に取り込み増収増益となった。通販事業以外に手を出している背景は、カタログ通販の限界を見据えての取り組みだったものの、今回(のコロナウイルス拡大)は大きく業績の足を引っ張る形になってしまった。
■ベルーナの事業内容は?
ベルーナの顧客の約80%は女性だ。ベルーナは2,000万人を超える会員登録者数を持ち、30代~80代の女性がメイン顧客となっている。なかでも45歳~75歳くらいまでがボリュームの多い顧客層になっている。楽天やAmazon、ZOZO、ロコンドなどの新しいネット通販サイトよりも、以前より慣れ親しんでいるカタログ通販を多用する層をメインとしている。
総合通販の基幹カタログである「ベルーナ」はじめ、専門通販であるアパレルモール「RYURYUmall」、ワイン通販「My Wine CLUB」や化粧品の「OZIO」、健康食品の「リフレ」、看護師向け通販サイトなどを展開している。インテリア、雑貨、アパレルなどの総合カタログ通販で培ったノウハウをさまざまな分野に展開して事業を拡大しているのがベルーナの事業戦略だ。
■ベルーナの株価推移は?
ベルーナは2018年2月に上場来最高値の1,535円を付けてから、コロナショックのあった2020年3月まで株価の下落がつづいていた。そこから日経平均株価などの相場全体の大きな反発にのり、株価は急反発して現在に至る。2020年10月30日の引け後に好業績の決算を発表したものの、ザラ場中に約14.2%の大きな下落が起こったのが本日時点までの状況だ。
競合他社のスクロールや千趣会なども2020年10月30日に株価は急落しており、巣ごもり特需を背景としたカタログ通販の好調を株価はすでに織り込み、一時的に株価は急落している。しかしながら、ベルーナの予想PERは8.6倍と割高感はまったくない。コロナ禍が終了したあとに、継続した事業拡大と収益改善をイメージできるかがポイントになりそうだ。いまのところ、カタログ通販の好業績は一時的と見られているところがあり、顧客のライフスタイルにしっかりと食い込むことができるかが株価の行方を左右するだろう。
以 上