音声合成エンジン「AITalk」を展開するエーアイ(4388)、スマホ・ゲーム・防災に活用!

 従来の機械的な声ではなく、人間らしい声を合成して作成できる音声合成エンジン「AITalk」を展開するエーアイ。これからeラーニングなどエーアイの展開する音声合成エンジンの活躍の場はますます広がりそうだ。上場時の2018年6月に最高値4,190円を天井に、右肩さがりの株価推移がつづいてきた。2020年2月~3月のコロナショックで大幅下落したのち、現在は株価の反発がつづいている。今後のエーアイの株価の行方は?

■基本情報(2020年7月22日時点)

  • 株価:2,390円
  • 時価総額:123億円
  • 予想PER:58.5倍
  • PBR:11.45倍
  • 予想配当利回り:0.33%
  • 自己資本比率:88.1%
  • 会計基準:日本基準

■エーアイの業績推移は?

 2018年6月に東証マザーズに上場したエーアイの売上規模は年間8億円ほど。2020年3月期の売上高は8.2億円(前年比+11.1%)、営業利益2.7億円(前年比+29.6%)と増収増益。営業利益率は約33%。株価があがる条件である高収益と高成長であるものの、売上規模が年間10億円に届かない点は悩ましい。前年比での成長が+20~30%で増えている場合はよいものの、エーアイの成長率は鈍化していて、2020年3月期は+10%を超える程度にとどまった。

 AIを活用した音声合成エンジンという新しいビジネスの魅力はあるものの、売上規模が小さすぎる会社の株価は足踏み(低迷)するケースも少なくない。たとえば、ネット通販などでAIを活用したリコメンド(おススメ)商品を表示するサービスを展開するシルバーエッグ・テクノロジーの売上高は約10億円、営業利益は1.4億円ほど。2020年3月にはシルバーエッグ・テクノロジーの時価総額は20億円程度まで下落(現在は約60億円)。

 エーアイもシルバーエッグ・テクノロジーと同じように、将来的には魅力あるビジネスであるものの、株式市場の地合いなどにより時価総額120億円が、これから半分または3分の1以下になる可能性はゼロではない。まだ実績を出せていない売上規模の小さなベンチャー企業ほど上下に大きく株価は動く傾向があるので注意が必要だ。

■エーアイの事業内容は?

 エーアイは、従来の機械的な声ではなく、人間らしい声を合成して作成する音声合成エンジン「AITalk」を展開している。防災分野のシステムに音声を組み込んだり、eラーニングや動画・ゲームなどのナレーションなどでも活用されている。今後は日本語だけでなく多言語で展開したり、車載分野(カーナビなど)での拡大を検討している。

 たしかに、スマートフォンが普及し、動画、ゲーム、音声による家電操作などの未来を考えると、エーアイの活躍する場はますます増えていくことが予想される。教育(学校、eラーニング)、ゲーム、Webサイトの発展などを考えると、インターネットでつながる世界もいままで以上に「声」によるサービスや機能が搭載されることが予想できる。

■エーアイの株価推移は?

 エーアイの株価はどうなるのか?上場時には約200億円だった時価総額は、2020年7月22日時点で約120億円ほど。ざっくり半値になった計算だ。エーアイのビジネスは未来志向で期待してしまう面がある一方、市場規模がどのくらいまで広がるか見当がつかない点はプラスにも、マイナスにもなる。エーアイの現在の業績を考えると、けっして割安な株価ではない。ただ、業績の拡大が来た場合は、ここから上昇に転じて高値を更新する可能性は十分ある。まずは様子見が妥当か?

(画像3)右肩さがりのエーアイの株価推移

以 上

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