「飲食店.COM」をメインプラットフォームに飲食店向けの求人、仕入先探し、物件紹介、M&A仲介などの事業をおこなっているシンクロ・フード。2020年3月頃から飲食店向けのサービスが低迷し、現在は回復の途中。緊急事態宣言による外食自粛の動きにより全般的に事業が低迷している。いっぽう、株価はコロナショックの最安値148円から2倍以上の390円まで反発している。すでに業績回復を株価が織り込み始めている状況だ。
■基本情報(2021年10月8日時点)
- 株価:390円(10年来高値:1,763円)
- 時価総額:105億円
- 予想PER:業績予想は未定
- PBR:4.13倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:90.4%
- 会計基準:日本基準
■シンクロ・フードの業績は?
シンクロ・フードの2022年3月期の第一四半期の売上高は3.7億円(前年同期比+63.2%増)、営業利益24百万円(前年同期は△1.3億円の赤字)と増収と営業黒字転換となった。シンクロ・フードの売上総利益率は+84.9%(前年同期は+74.8%)と高い水準となっている。
2020年3月期の第一四半期の売上高は4.9億円、2019年3月期の同期の売上高は4.3億円とコロナ前の売上規模まで回復していないのが現状だ。しかしながら、アフターコロナでは補助金の終了により、飲食店の参入と撤退の動きが大きくなるため、シンクロ・フードの新たな活躍の機会が増えそうだ。
■シンクロ・フードの事業内容は?
シンクロ・フードはメディアプラットフォーム事業、M&A仲介事業、人材紹介事業の3つのセグメントに分けている。売上規模は圧倒的にメディアプラットフォーム事業の比率が高く、全体の約9割となっている。昨年の1Qはこのセグメント損益が赤字だったものの、今回の1Qでは黒字に転換している。
メディアプラットフォーム事業は「飲食店.COM」を中心とした求人広告、店舗内装業者の仲介、物件仲介、厨房設備仲介などの飲食店の運営と出店・撤退に関するサービスをおこなっている。
M&A仲介事業は、飲食店の売買の仲介だ。人材紹介事業はシンクロ・キャリアにて飲食店向けの人材紹介をおこなっている。つまり、シンクロ・フードはコロナ禍の大きな逆風のなかにいるものの、緊急事態宣言が終わり、外食産業が反発するなかで大きく業績をのばすチャンスを持っている事業内容となっている。
■きわめて健全なシンクロ・フードの財務状況!
シンクロ・フードの財務諸表をみると、きわめて健全な財務状況であることがわかる。現預金は約24億円もっていて、有利子負債はゼロ。ビジネスモデル上、棚卸資産を持たず、設備投資も不要な事業モデルとなっている。
シンクロ・フードは、売上総利益率が80%を超えており、損益分岐点を超えると一気に利益が拡大する利益構造になっている。シンクロ・フードの課題としては売上規模が小さい点だ。コロナ前でも年間売上高は約20億円。ここから売上高50億円、100億円を目指すには新規事業が必要になる。一時は、時価総額400億円くらいまで上昇したものの、成長性が乏しいため、最高値からすでに4分の1くらいまで株価は下落している。
■シンクロ・フードの株価の行方は?
シンクロ・フードの時価総額は約100億円。2018年3月に最高値の株価1,763円をつけてから株価の下落トレンドは止まらない。コロナショック時の2020年3月には最高値から10分の1以下の株価148円まで下落。そこから、現在は390円まで反発している状況だ。
シンクロ・フードの株価がこれから高騰するには、業績面でのポジティブサプライズが必要になる。売上規模が仮に50億円になれば、売上総利益は約40億円、販管費15~20億円としても、営業利益は20~25億円は出るようになる。そうすると、PER25倍で計算すると時価総額は350~400億円くらいにはなりそうだ。
売上規模を倍増させるためには既存事業だけでなく、何か新しい挑戦が必要になる。既存事業の業績回復だけでは、うまく反発しても時価総額200億円くらいではないだろうか。
以 上