スキルのマーケットプレイス「coconala」運営のココナラ、成長も広告負担が重い!

 個人のスキルを売買できるマーケットプレイス「coconala」やユーザーと弁護士のマッチングサービス「coconala法律相談」を展開しているココナラ。前年比で流通高(総取引高)は20%台で成長しているものの、テイクレートが27%前後で売上高の伸びが限定的。また、認知度向上の広告費の負担が重い。今後のココナラの業績と株価の行方は?

「スキル」のマーケットプレイス運営のココナラ、成長つづくも株価は低迷に!(2022年8月27日投稿)

スキルマーケット「coconala」を運営するココナラ、サービス版のAmazon目指す!(2021年4月18日投稿)

■基本情報(2023年2月22日時点)

  • 株価:486円(10年来高値:2,899円)
  • 時価総額:116億円
  • 予想PER:赤字予想
  • PBR:6.37倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:43.9%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:11,198人(2022年8月31日時点)

■ココナラの業績は?

 ココナラの2023年8月期の第一四半期の売上は10.9億円(前年同期比+23.8%増)、営業利益△2.2億円の赤字(前年同期は△2.3億円の赤字)と売上高は増加したものの、赤字額はほぼ横ばいの状況だ。

 ココナラの流通高(取扱高)は35.7億円(前年同期は29.5億円)と+21.0%の増加となった。ココナラのテイクレート(取引高から手にする手数料率)は27%前後で横ばいとなっている。

■ココナラの営業費用は?

 ココナラの営業費用(販管費)をみると、2023年8月期の第一四半期で広告宣伝費を4.9億円投入しているため、この部分が大きく損益にマイナスの影響となっている。テレビCMを実施しており、顧客拡大のための投資という位置づけだ。

 ただ、ココナラは広告宣伝費を投入しないと既存顧客の離脱にともなう新規顧客の集客ができず、自転車操業的な面があることに注意が必要だ。freee、ラクス、マネーフォワードなどのようなサブスクリプションモデルのITサービス企業であれば、赤字でも積極的にテレビCMなどで集客することで将来の利益を拡大させることができる。そのポイントは、サービスの解約率だ。電気、ガスと同じように一度、契約すると解約しやすいかどうか。

 ココナラはサブスクリプションモデルの利益構造ではなく、いわゆるリカーリングモデルという再購入層によって手数料を稼ぐモデル。月次課金サービスと比べると、離脱されるリスクが高いし、毎月の課金額が一定ではない。

■「coconala法律相談」は?

 「coconala法律相談」はサブスクリプションモデルであり、継続課金サービスとなっている。こちらは、積極的に顧客を拡大することにより、将来の収益を拡大できる可能性はある。

 「coconala法律相談」は、相談者と弁護士との掲示板サービスとマッチングサービスとなっている。一般の相談者から料金を取るのではなく、弁護士側から有料登録者(月額3万円~)としてサービス料を徴収する仕組みだ。仕組みとしては弁護士ドットコムとほぼ同じ仕組みのサービス。有料課金している弁護士としては顧客の集客する仕組みであり、広告宣伝的な位置づけだ。

 「coconala法律相談」は、登録弁護士数は約4,000人、有料登録弁護士は1,150人となっている。営業収益は2023年8月期の第一四半期で1.2億円(月額は0.4億円)まで上昇している。月次解約率は1.0%のため、年間12%前後の解約率と低い。

■ココナラの財務状況は?

 ココナラの2022年11月30日時点の財務諸表をみると、現預金は28.7億円、投資有価証券は4.5億円となっている。いっぽう、有利子負債はなく、前受金5.0億円、預り金9.2億円(スキルサービスの決済前の資金)と資金繰りは余裕のあるキャッシュフローの事業モデルになっている。

 ココナラは2021年3月19日に東証マザーズに上場し、公募増資と引受証券で23億円ほど資金を増加させている。なお、既存株主が保有株を同時に売り出して、143億円を現金化している。上場時の初値は1株あたり2,300円(現在は486円)で初値ベースの時価総額はいまの約5倍の494億円だった。

■ココナラの株価推移は?

 ココナラの時価総額は約120億円。シェアリングエコノミーが流行ったタイミングで上場しており、上場のタイミングとしては最高だった。いっぽう、収益性や成長性にスピード感がなく、ここから時価総額400億円、500億円に戻れるかというと難しいのではないだろうか。スキルのマーケットプレイスでは消費者の時間は限られており、スキル提供にあてる時間がここから急激に増えていくのは難しいと考える。

 反対に、YouTubeなどの動画サイトでスキル紹介も多く、消費者がココナラでわざわざ「先生」を探す必要があるか疑問も残る。同じようなサービスに、クラウドワークス、ランサーズ、ストアカなどもある。

(画像1)ココナラの株価推移

以 上

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