家計簿サービスの「zaim」や住宅・不動産専門メディアの「オウチーノ」など複合的なビジネスを展開している、くふうカンパニー(以下、新くふうカンパニー)。現在の新くふうカンパニーは上場していたロコガイドと経営統合しており、以前の旧くふうカンパニーとは異なることに注意が必要だ。また東証グロース上場中のハイアス・アンド・カンパニーを連結子会社にしており、企業グループとしての規模は大きい。
「オウチーノ」「zaim」など生活関連サービス、くふうカンパニーの業績の行方は?(2021年6月6日投稿)
■基本情報(2022年8月18日時点)
- 512円(10年来高値:909円)
- 時価総額:283億円
- 予想PER:62.1倍
- PBR:3.04倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:42.8%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:約4,700名(旧くふうカンパニーとロコガイド合算)
■新くふうカンパニーの業績は?
新くふうカンパニーの2022年9月期の第三四半期の売上高は133億円、営業利益10.0億円。新くふうカンパニーの売上総利益率は+50.8%、営業利益率は+7.6%。
新くふうカンパニーは2021年10月に旧くふうカンパニーとロコガイドの経営統合により、統合後の会社が新くふうカンパニーとして東証マザーズに上場しており、過去の旧くふうカンパニーの業績と比較しても意味がない。新くふうカンパニーの社長はカカクコム、クックパッドの業績を拡大させたプロ経営者の穐田誉輝(あきた・よしてる)氏。穐田氏に期待をして投資している人も少なくないだろう。
■新くふうカンパニーの事業内容は?
新くふうカンパニーは、毎日の暮らし事業(ロコガイド、zaim、知育アプリなど)とライフイベント事業(住まい関係、結婚関係、保険領域など)、そして、その他の事業の3つにわかれる。正直、複合・多角事業群を作っている。
売上高内訳は、ライフイベント事業が約6割(売上高約32億円、営業利益約10億円)、毎日の暮らし事業が約3.5割(売上高約130億円、営業利益約7億円)という割合だ。
■ライフイベント事業とは?
ライフイベント事業では、不動産関連のコンサルティング事業をおこなっている連結子会社ハイアス・アンド・カンパニー(以下、ハイアス)の業績が反映されている。ハイアスの年間売上高は約80億円、営業利益6億円、時価総額約50億円。ハイアス以外で業績を引っ張っているのは、オウチーノ内でフルリノベーション住宅を販売する「おうちのくふう」だ。中古マンションを買い取って、フルリノベーションして販売する事業だ。
その他に、「Any place」「Any plan」などのエニマリという結婚事業がある。結婚関連サイトの運営や結婚式のプロデュースを行っている。
■毎日の暮らし事業とは?
新くふうカンパニーの毎日の暮らし事業とは、ロコガイドの「トクバイ」がメインだ。ドラッグストア、スーパーマーケット中心にトクバイ情報を展開するプラットフォームを展開している。約3万店舗が加入。スーパーマーケットなどの小売りにマーケティングツールを提供している。
■今後の業績の予想は?
新くふうカンパニーの2022年9月期の業績予想は売上高180億円、営業利益13億円を計画している。新くふうカンパニーは、結婚~住宅購入~日常生活までのライフサイクルをサポートする事業を展開。
結婚関係のエニマリが新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んでいるものの、いずれ回復してくると、新くふうカンパニーの成長感が株式市場に伝わってくるかもしれない。
■新くふうカンパニーの財務諸表は?
新くふうカンパニーの財務状況は、現預金75億円、販売用不動産27億円、営業投資有価証券20億円などを保有。いっぽう、有利子負債は約60億円。フルリノベーションの中古マンションの販売をしているものの、それほど在庫残高は多くないという印象だ。過剰在庫にならないようにコントロールしていると思われる。
■今後の株価の行方は?
現在の新くふうカンパニーの時価総額は約280億円。株価指標的には割安感はないものの、結婚関連事業が回復してくると状況は変わってくるのではないだろうか?社長の穐田氏はライフサイクルビジネスを得意としており、また多角化による収益拡大の実績をもっている。
売上高1,000億円、営業利益100~200億円くらいの企業グループを作る期待があり、実現が見えたときには時価総額は1,500~3,000億円くらいまで上昇する可能性はある。いま時価総額が500億円を超えていると、株価下落のリスクが大きいが、いまはまだ低位置と考えてもよいかもしれない。引き続き、期待したい。
以 上