インフラテックのベイシス、通信キャリアの常駐エンジニアサポート!

 ソフトバンク、KDDI、楽天モバイルなどの通信キャリアや東京電力パワーグリッド、パナソニックなどの事業会社などに常駐してエンジニアのサポートを実施する事業を行っているベイシス。自社だけではエンジニア数は足りないため、協力会社とともに、現状、稼働人員数は4,838人、平均単価は63.8万円・月、となっている。ただ、それほど粗利が高くないのが利益構造として課題だ。

■基本情報(2023年8月15日時点)

  • 株価:1,759円(10年来高値:11,510円)
  • 時価総額:30億円
  • 予想PER:35.9倍
  • PBR:1.54倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:55.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,341人(2022年6月30日時点)

■ベイシスの業績は?

 ベイシスの2023年6月期の売上高は68.6億円(前年比+9.6%増)、営業利益3.8億円(前年比△21.9%減)の増収減益。ベイシスの売上総利益率は+24.5%(前年は+24.9%)、営業利益率は+5.6%(前年は+7.8%)と悪化傾向。

 ベイシスの売上総利益は前年の15.6億円→16.8億円と+1.2億円の増加、販管費は前年の10.7億円→13.0億円と+2.3億円の増加となり、差し引きで△1.1億円の悪化となった。その結果、営業利益は前年の4.9億円→3.8億円と△1.1億円の減益。

 ベイシスの業績をみると、売上総利益率が+20%台と低いものの、売上高の伸びが小さく、成長性と収益性の両方に課題があるのが問題。インフレによる人件費の高騰などで、なかなか利益がでにくい構造であることが明らかになった形だ。

■ベイシスの事業内容は?

 ベイシスはモバイルエンジニアリングとして、大手通信キャリアへのサービスが全体の7割くらいの売上高比率を占める。ソフトバンク、KDDI、楽天モバイルが顧客だ。キャリア常駐をストック売上としているものの、これまでの年度推移をみると、2022年6月期に31.4億円をつけて、2023年6月期は30.9億円と減少している。ストック売上高がさがっていることが大きな問題。モバイルエンジニアリングの稼働人員数は協力会社もいれて4,838人。計画は5,547人だったので達成率は87.2%にとどまる。前期比でも101人の減少。

 もう一つの事業の柱はIoT事業だ。こちらは機器設置であるフロー売上高が全体の73%を占める。IoTエンジニアリングは電力スマートメーターなどの東京電力パワーグリッド、NICIGASなどエネルギー関連企業の実働部隊として動いている。設置危機数は72万台と計画の57万台を大きく上回る。しかしながら、永遠に設置対象の機器が存在するわけではないので、事業が盤石か見極めが必要だ。

■2024年6月期の事業計画は?

 決算発表と同時に、2024年6月の業績予想を発表。売上高は65.5億円(前年比△4.6%減)、営業利益1.4億円(前年比△62.5%減)と大きな減収減益の予想を出した。ベイシスによると「意志ある踊り場」とのこと。しかしながら、投資家としては、たまったものではないだろう。

 1株あたりの当期純利益(EPS)は49.6円であり、予想PERを20~30倍で試算すると、予想株価は1,000円~1,500円くらいとなる。現在の株価が約1,600円くらいのため、まだまだ株価は下がるだろう。現状の時価総額が約30億円のため、時価総額20億円くらいまでは下限株価としてありえるだろう。

■ベイシスの財務状況は?

 ベイシスの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は10.6億円、売掛金17.3億円、仕掛品2.6億円。負債は、有利子負債が8.0億円。財務的には健全だ。ベイシスは2021年6月24日に東証マザーズに上場し、約4.2億円の資金調達をしている。

 ベイシスのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+73百万円、投資CFは△1.5億円、財務CFは短期借入金3.0億円などにより+2.6億円となり、現預金は8.7億円→10.6億円に増加している。

■ベイシスの株価推移は?

 ベイシスの時価総額は約30億円。予想EPSなどから試算すると、まだ割高感がある。そもそも、利益率がそれほど高くないビジネスモデルであり、将来的な大きな成長が描きづらい。時価総額が小さいので多少の変動はあるものの、時価総額100億円を超えるようなストーリーは、残念ながら現状のビジネスモデルからは見えてこない。

 事業的にはJタワー(J TOWER)がモバイル、エンジニアリングという面で重なる部分が想定されるものの、Jタワーは知的集団というイメージがあり、事業にノウハウが詰まっている感じがする。ベイシスは協力会社の調整役、現場監督的な位置づけであり、成長ストーリーが見えない。

(画像1)ベイシスの株価推移

以 上

 

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