法人向けの入退室管理システム(スマートロック)の「Akerun」を主力製品にサブスクリプション型のビジネスを展開しているフォトシンス(Photosynth)。年間リカーリング売上高は約15億円まで上昇も、いまだ営業利益は大幅な赤字。契約社数は4,000社を突破、1社あたり平均月額売上高3.1万円と上昇トレンド。フォトシンスの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2022年1月14日時点)
- 株価:622円(10年来高値:1,526円)
- 時価総額:95億円
- 予想PER:ー(赤字)
- PBR:5.2倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:55.5%
- 会計基準:日本基準
■フォトシンスの業績は?
フォトシンスの2021年12月期の第三四半期の売上高は11.6億円、営業損失△5.2億円の大幅な赤字。フォトシンスの売上総利益率は86.8%と非常に高いものの、販管費が売上高を上回る水準で大幅な赤字となっている。
■フォトシンスの事業内容は?
フォトシンスは入退室管理システムをスマートフォンやICカードなどで操作できる「Akerun(アケルン)」を主力製品にしている。法人利用数は4,000社を突破。この入退室管理システムでは日立グループ、セコムなどの大手も参入している事業内容。
小さな企業では「Qrio Lock(キュリオロック)」を展開しているQrio、「RemoteLOCK」の構造計画研究所(ジャスダック上場)、「homehub」のbitkeyなど多くの企業が参入している。「Akerun」が力をいれて広告しているため、スマートロック=Akerunのイメージが強いものの、競合の多い事業領域であることに注意が必要だ。
スマートロックの領域は、ただ鍵を開けやすいというメリットだけでなく、労務管理などの面にもつなげられる生産性改革の領域でもある。
■フォトシンスの収益状況は?
フォトシンスの事業規模は年間で約15億円。広告宣伝費を約5億円投入している。いまはいかに事業規模を増やすかが重要なKPIになっている。フォトシンスの従業員数は153名(2021年9月末時点)。平均解約率は2%を割る水準だ。
■フォトシンスの株価推移は?
フォトシンスの時価総額は約100億円。すでに上場時から半値以下まで下落している。いまの利益水準であれば、時価総額50億円を割る可能性はあるものの、SaaS型(サブスクリプション型)ビジネスのため、成長性を考慮して、200~300億円くらいまで時価総額が上昇する可能性もありえる。当面は様子見が無難だろう。
前年比+30%を超える水準で成長できればよいものの、成長率が鈍化すると一気に株価は調整すると思われる。
以 上