送客ビジネスのポート(7047)、「キャリアパーク!」など領域特化型ビジネス展開!

 キャリア・カードローン、リフォームの3つの分野の送客ビジネスを展開しているポート。「送客ビジネス」とは、インターネットメディアなどで消費者を集め、顧客企業のウェブサイトに「お客さんを送る」というビジネスモデルだ。上場企業では、じげん、エイチーム等が展開している。旅行関連では「トラベルコ」を展開しているオープンドアも旅行代理店への送客ビジネスの事業モデルだ。ここ数年、収益を上げてきたポートも2021年3月期は苦戦中で、増収減益の業績見通しだ。株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年9月18日時点)

  • 株価:972円
  • 時価総額:113億円
  • 予想PER:15.5倍(2020年9月18日の業績見通し発表で大きく変更予定)
  • PBR:5.23倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:53.8%
  • 会計基準:日本基準

■ポート、2021年3月期の業績見通し発表!

 ポートの2020年3月期の実績は、売上高41億円(前年比+35.0%)、営業利益7億円(前年比+29.0%)と大幅な増収増益だった。ポートの営業利益率は2ケタを超える17%で、高成長・高収益の業績。2020年2月頃から拡大した新型コロナウイルスの影響により、2021年3月期の業績予想は「未定」となっていたものの、2020年9月18日にようやく発表となった。

 9月18日の公表資料によると、2021年3月期は売上高41~45億円、営業利益は0~1億円と、売上高は成長するものの、営業利益は大幅な悪化予想となっている。ポートの営業利益が悪化する理由(要因)は何なのか?公表資料を読むと、「潤沢な事業利益を原資にアカウント投資、コンテンツ投資、システム投資を実施してまいります」と記載されている。ポートは、ここから3年間は投資フェーズという位置づけのようであるものの、ここからの2~3年は苦しい業績が続きそうで、株主にとっては試練の時間になりそうだ。

■ポートの送客ビジネスとは?

 ポートの事業モデルは送客ビジネスだ。上場企業でも同じようなビジネスモデルを展開している企業は多く、事業環境のよいときは高い利益率を計上するのが特徴だ。たとえば、じげん(3679)は、「アルバイトEX」「転職EX」などの求人関連の一括検索という仕組みの送客ビジネスや、不動産関連の送客ビジネスを展開している。エイチーム(3662)は、「引越し侍」「ナビナビキャッシング」や結婚式場情報サイトの「ハナユメ」などを展開。両社ともにサイトに消費者を集め、顧客企業に消費者を紹介するという事業モデルだ。

 ポートは同じようなビジネスを、キャリア、カードローン、リフォームという3つの分野で行っている。キャリアでは国内最大級の就活ノウハウサイト「キャリアパーク!」や就活生向けの企業口コミサイト「就活会議」などを展開し、就活生を企業に送客することで紹介料を獲得している(「就活会議」はリブセンスより15億円で買収)。カードローンでは「マネット」にてカードローンの情報サイトを展開し、消費者金融などに送客を行っている。リフォームでは2020年7月31日に子会社化したドアーズによる「外装塗装の窓口」を展開している。興味のある分野の消費者を集めて、その事業をおこなっている企業に紹介するのが送客ビジネスだ。

■悩ましい競争激化と広告宣伝費!

 ポートの2021年3月期の業績予想はほぼ利益がでない見通しだ。キャリア(求人)という領域では、リクルートグループをはじめとした大手企業が激しい攻防を繰り広げている事業領域。新規参入で伸びる会社があるものの、当然、消えていく企業も少なくない。ポートはセグメント別の業績を公表していないものの、決算説明資料を読むかぎり、キャリア領域での利益が一番多いとみている。新型コロナウイルスの影響により、大学生の就職活動のオンライン化が進み、ポートの活躍するインターン紹介や企業説明会紹介などが減少している。

 ポートにかぎらず、送客ビジネスで重要なのは消費者(ユーザー)いかに集客できるか。送客するためには、ポートのサイトを活用してくれるユーザーを増やす必要があり、ポートは売上高の約30%の広告宣伝費を投入している。2021年3月期は、この比率が一段と高くなるかもしれない。

■ポートの株価推移は?

 ポートは2018年12月に上場。株価は大きく上昇することなく、大きなボックス圏のなかで動いているのが現在の状況だ。時価総額は約110億円であり、成長性や収益性を考えると、けっして割高ではない。新型コロナウイルスの影響などがなければ、時価総額200億円~300億円を前後していてもおかしくない業績だ。送客ビジネスは時代の流れにマッチすれば高い成長と利益をあげることができるビジネスモデル。

 じげんは一時は時価総額1,000億円を超える規模まで株価はあがり、現在は390億円ほどまで下落。エイチームも一時は時価総額900億円まで上昇した(現在は約170億円)。ポートのかかげる「非日常領域のマッチングDX」という戦略があたれば、売上高100億円、EBITDA20億円がみえてきて、株価はここから数倍になる可能性はある。引き続き、事業の行方をウォッチしたい。

(画像4)ポートの株価推移、大きなボックス圏を動いている

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする