自動車部品のティラド(7236)、業績の行方は?

 自動車、建設機械などのラジエータ、オイルクーラなどを生産する部品メーカーのティラド。低迷する業績を受けて、株価は底値水準をさまよっている。株価低迷を受けて時価総額は110億円規模まで減少。2017年には4,700円をつけていた株価も現在は1,300円台と半値以下まで下落。今後の株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年5月8日時点)

  • 株価:1,364円
  • 時価総額:113億円
  • 予想PER:10.9倍
  • PBR:0.23倍
  • 予想配当利回り:6.59%

■業績予想の下方修正、低迷する自動車部品メーカー

 自動車メーカーはじめ、自動車関連メーカーの業績がきびしい。ラジエータなどの熱交換器を製造するティラドは年間売上高1,300億円規模の企業であるものの、営業利益は20億円~50億円前後。営業利益率は3%前後と低く、低い営業利益率が株価に反映されている状況だ。

 2019年度は当初、営業利益の予想を41億円とかかげていたものの、22億円に下方修正。ティラドに限らず、自動車関連メーカーの苦戦はつづいている。しかしながら、時価総額は110億円規模まで下がり、年間の予想配当利回りは6%を超えている水準まで株価は下落しており、さすがに割安水準に入ってきたのではないか。

■電気自動車化(EV化)の影響は?

 ティラドの業績の心配のタネのひとつは、ガソリン車から電気自動車への世の中の転換だ。電気自動車になるとエンジンが不要になり、熱交換器であるラジエータやエンジンオイルクーラなどが不要になる。このような新しい自動車の登場により、新しい時代の製品に対応できるかどうかが株価成長のカギになる。

 このような環境の変化はあるものの、ティラドの株価は同業他社と比較しても安すぎる。同じ熱交換器メーカーである東京ラヂエーター製造(7235)は売上高290億円、営業利益8億円で時価総額は83億円(ティラドは時価総額113億円)。他社と比較すると、ティラドの株価がいかに割安であるか際立ってしまう。

■株主優待廃止、苦しい状況はつづく!

 ティラドは株主優待として、プレミアム優待倶楽部(ポイントに応じた商品との交換)を導入していたものの、2020年3月より廃止。プレミアム優待倶楽部は、個人株主を増やす目的で、上場企業のウィルズ(4482)が展開するポイント交換サービス。

 この株主優待の廃止を見ても、ティラドの足元の財務の厳しい状況が伝わってくる。現在は株価上昇よりも手元の現金をしっかり確保することを優先しているということか。

■ティラドの株価チャートは?

 ティラドの株価チャートをみると、八千代工業とほぼ同じ形。自動車部品メーカーであり、同じ電気自動車化に乗り遅れるという事情を織り込んでか、ティラドと八千代工業は同じ株価推移を示している。機関投資家は、ガソリン車がメインとなる自動車部品を扱う企業の株を買っていないということか。

以 上

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