ITフリーランスエンジニアのマッチングサイトの「geechs job」を運営しているギークス。極楽とんぼの加藤浩次氏をイメージキャラクターにもってきて、YouTubeなどでも積極的に宣伝をしている。競合他社は旧ブランディングエンジニア(現TWOSTONE&Sons)の「midworks」などがある。2022年11月にオーストラリアでIT人材サービスを展開するLaunch Group Holdingsの70%を取得し、連結子会社化。それによって、今期から売上高が大きく増えている。
フリーランス人材マッチングのギークス、ゲーム開発やITスクール運営も!(2022年10月10日投稿)
ブランディングエンジニアからTWOSTONE&Sonsに、「Midworks」の転換!(2023年8月12日投稿)
■基本情報(2023年8月10日時点)
- 株価:697円(10年来高値:2,715円)
- 時価総額:72億円
- 予想PER:19.9倍
- PBR:1.67倍
- 予想配当利回り:2.15%
- 自己資本比率:47.8%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,509人(2023年3月31日時点)
■ギークスの業績は?
ギークスの2024年3月期の売上高は59.5億円(前年比+68.7%増)、営業利益29百万円(前年は△1.2億円の赤字)と大幅増収と黒字化となった。ギークスの売上総利益率は+17.5%(前年は+11.9%)と非常に低い。ギークスの利益推移をみると、なぜか第一四半期の業績は悪く、第二四半期に大きく利益を出す傾向がある。
ギークスの売上総利益は前年の4.2億円→10.4億円と+6.2億円と大きく増加、販管費は5.4億円→10.1億円と+4.7億円と大きく増加し、差し引きで+1.5億円の増益となった。営業利益は前年の△1.2億円→0.3億円と+1.5億円の改善となった。
■ギークスの事情状況は?豪州のLaunch社の買収
ギークスのここ最近の事業状況の大きな変化は、オーストラリアのIT人材会社であるLaunch社の持分70%を19.1億円で買収したことだ。Launch社は2006年設立の会社。事業規模は年間売上高100億円で3億円くらい営業利益がでている会社だ。2024年3月期から連結をスタートしており、今期のギークスの売上規模は大きく増えることが確定している。
いっぽうで、売上規模は増えるものの、どこまで利益に貢献できるか不明な点が懸念点だ。日本とオーストラリアでITフリーランスエンジニアの事業を展開することで相乗効果を見込めなければ、あくまで事業規模拡大の施策としてしか考えることができないからだ。もちろん、これからフリーランスエンジニアの需要が増えていくのであれば、ギークスの業績にとっては大きくプラスに作用するだろう。
■国内IT事業は好調継続!
ギークスの国内IT事業は好調だ。売上高は前年の30.1億円→34.6億円と+14.8%の増加、利益は2.8億円(前年は2.8億円)。利益が伸びていないことが気になるものの、稼働人員数は前年の3,990人・月→4,405人・月に増加。受注単価も76.9万円→79.9万円に増加している。
取引企業数は前年の1,309社→1,497社に+14.4%増、現在のフリーランスエンジニアの登録者数は公表されていないものの、新規登録者数はプラスで推移している。
■ギークスの財務状況は?
ギークスの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は35.6億円、買収関連資産(のれん含む)は20.9億円。負債をみると、有利子負債が約16億円あり、Launch社買収の多くを借入でまかなっていることがわかる。ギークスのバランスシートを考えると、Launch社の買収の約20億円は十分吸収できる投資ではないだろうか。財務的には健全だ。
■ギークスの株価推移は?
ギークスの時価総額は約72億円。Launch社の買収はいまのところ株価のプラス要因にはなっていない。第一四半期の結果だけをみると、年初の業績予想である売上高280億円(前年比+75%増)、EBITDA9.0億円(前年比+38.2%増)、営業利益7.0億円(前年比+18.8%増)、1株あたり当期純利益(EPS)34.9円を達成できるか判断できない。
現状のEPSで成長性や収益性を考えて、予想PER20~30倍で試算すると、予想株価は698円~1,050円くらいになる。現状の株価697円は妥当な株価というところか。業績予想に上振れ要素がないと、株価が大きく上昇していく可能性はそれほど高くないだろう。
以 上