人材(求人)、不動産(賃貸)などの一括検索サイトを展開しているインターネット企業じげん。インターネットメディア事業であるREJOB(リジョブ)も展開。これまで高い成長と高収益率を誇ってきたものの、2020年3月期は前年比+2.7%の売上高増にとどまった。このような成長鈍化の業績を反映し、じげんの株価推移は、ここ数年、下落トレンドが進んでいる。じげんの株価回復はいかに?
■基本情報(2020年6月5日時点)
- 株価:389円
- 時価総額:435億円
- 予想PER:15.1倍
- PBR:2.61倍
- 予想配当利回り:0.77%
■じげん、どのようなビジネスを展開している?
求人や不動産を中心に一括検索サイトというビジネスモデルを中心にインターネット事業を展開している、じげん。2020年3月期の業績は、売上高132億円(前年比+2.7%)、営業利益38.1億円(前年比△6.6)。営業利益率はなんと28.8%。これまで高い売上高の成長と、高収益率で株価は上昇してきたものの、2018年2月を天井に株価は下落中だ。その下落の理由は成長の鈍化。
じげんは、人材、不動産、生活の3つのセグメント(領域)で事業を展開。売上高の65%を稼いでいるのは人材領域だ。人材領域では、一括検索サイトの「アルバイトEX」「転職EX」「派遣EX」「看護師求人EX」など、一般のユーザーが一括して複数の仲介会社に応募できるというEXシリーズを展開。じげんは、ユーザーの一括応募によって手数料をもらうビジネスモデル。
不動産領域では、一括検索サイトとして「スモッカ(賃貸)」「引越し見積もりEX」などを展開。生活領域では、自動車の「中古車EX」を運営している。また、ホテル登録サイトとして「アップルワールド」を展開している。じげんのビジネスモデルを一言でいうと、顧客企業のユーザーを紹介する「送客ビジネス」だ。
■上場以来15件のM&A、大きな「のれん」!
じげんが成長した戦略として忘れてはいけないのがM&Aだ。上場以来15件の事業買収を実施し、新しい事業や領域に参入。結果として、高い売上高の成長を実現してきた。その結果として、2020年3月末時点で「のれん」として94.3億円がB/S(バランスシート)に計上されている。
じげんの財務状況は健全で、自己資本比率は70%を超えているものの、90億円を超える「のれん」は決して軽いものではない。急成長したインターネット企業は成長が鈍化して収益率が悪化すると、株価が継続的に下落する事例は少なくない。たとえば、レシピ検索サイトを展開するクックパッド、化粧品口コミサイト「アットコスメ」を展開するアイスタイルも株価の下落が止まらない。
■じげんの株価推移は?
じげんの株価は安値圏なのか?上場以来の株価推移をみると、急騰前の2016年の株価レベルであり安値圏と言える。しかしながら、現在の株価は安値圏と言っても割安であるとは言えない。じげんの時価総額は約450億円。これから営業利益がさがっていくと考えた場合、まだまだ株価の下落はつづく。
反対に、売上高と営業利益が再成長に突入した場合、株価は上昇トレンドに反転する可能性は高い。インターネット企業の強みは無駄な固定費が少なく、赤字になりにくい点だ。一括検索サイトについて言えば、人材、不動産、中古車と横展開を進め、新しい領域でのEXシリーズとしての横展開はもちろん可能だ。
新しい事業への投資も考えられるため、じげんの成長可能性は十分あるものの、2020年度の実績を見るかぎり、成長の鈍化がやはり心配だ。いったん株価が急騰し、下落トレンドにはいった銘柄が再度、上昇トレンドに入るところを見極めるのは難しい。
以 上