モバイルオンラインゲームやメタバース領域など多面的な事業を展開しているgumi(グミ)。具体的な売上高の内訳を開示していないため、どのタイトルで売上が上がっているか不明であるものの、メタバース事業は全体の5%も売上高は計上されていない。本当にメタバースでマネタイズ可能なのだろうか?gumiの今後の株価と業績の行方は?
苦戦のgumi、赤字続く、中期経営戦略の目標値の達成は未定!(2022年6月11日投稿)
メタバース銘柄?赤字で苦戦するgumi、含み益100億円超は事実?(2022年3月13日投稿)
■基本情報(2022年12月9日時点)
- 株価:711円(10年来高値:3,340円)
- 時価総額:223億円
- 予想PER:12.9倍
- PBR:2.36倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:49.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:15,761人(2022年4月30日時点)
■gumiの業績は?
gumiの2023年4月期の第二四半期の売上高は83.1億円(前年同期比△3.2%減)、営業利益+4.2億円(前年同期は△15.7億円)の減収黒字転換となった。gumiの売上総利益率は+24.1%(前年同期は+3.9%)、営業利益率は+5.1%。
gumiの財務諸表でよくわからないのは売上総利益率が大きく変動すること。売上原価の内訳を開示しており、人件費や外注費が大きく減少していることが売上総利益率改善の理由であるものの、固定費に近い人件費や外注費がなぜ大きく変動するか明確になっていない。貸借対照表(B/S)をみると、ソフトウェア仮勘定に33.5億円が計上されており、売上にみあった売上原価を反映しているのではないかという仮説がある。
ゲーム企業は開発費をそのまま損益に反映している企業があるものの、売上高と対応させて損益を反映させるケースもある。gumiは後者と思われ、予想以上にゲームタイトルの売れ行きが悪いと減損をすることがこれまでも多かった。
■見えない収益構造!
gumiはゲームタイトルごとの売上高を開示していないため、どのタイトルで稼いでいるのかよくわからない。おそらくファイナルファンタジーシリーズの「FFBE」で稼いでいると思われるものの、ここ最近の乃木坂フラクタルなどどこまで売上高に貢献しているか不明だ。
セグメント情報をみるとメタバース関連はほとんど売上高が上がっておらず、マーケット(投資家)が期待しているものと現状の売上高には大きな乖離があると思われる。ブロックチェーンなどの技術は将来的に役に立つと思われるものの、マネタイズにどのようにつなげるか見えないのが正直なところ。
■gumiの財務状況は?
gumiの2022年10月末の財務状況は、現預金70億円、ソフトウェア仮勘定33.5億円、投資関係55.2億円を計上している。いっぽう、有利子負債を約65億円ほど計上している。心配されるのはソフトウェア仮勘定や投資関係の妥当性だ。
gumiは仮想通貨を保有しているものの、どの仮想通貨(暗号資産)をいくら保有しているか開示していない。これはgumi本体が暗号資産を保有しているのではなく、gumi Cryptosという連結子会社が保有しており、いまの会計ルールでは保有額を開示しなくてもよいのかもしれない。
ただ、gumi自体もリスクを開示しており、「また、ブロックチェーン領域においては暗号資産への投資も行っており、「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」(実務対応報告第38号 2018年3月14日)に従った会計処理を行っておりますが、暗号資産に関しては短期的な時価の変動が激しいことから、保有する暗号資産の時価が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。」としている。
■gumiの株価推移は?
gumiの時価総額は約220億円。いまの収益力、成長性だけをみると割高だ。投資家が期待しているのは、メタバース領域(ブロックチェーンゲーム、NFT、暗号資産など)で想定外の利益を生む仕組みを作ってくれるかもしれないという期待感だ。言い換えると、この期待感がはがれると株価は一気に下がる可能性がある点に注意が必要だ。
そもそも、2023年4月期には売上高500億円、営業利益100億円という中期経営計画を公表していたものの、その半分の達成も見通しが立たない状況。ただ、投資家の期待感は薄れることがないようだ。
以 上