「ReFa」「SIXPAD」のMTG、自社ブランド製品にて成長継続なるか?

 「ReFa(リファ)」や「SIXPAD(シックスパッド)」など自社ブランドの美容機器、トレーニング機器などをファブレスで企画・販売しているMTG。コロナ禍での自宅トレーニングなどニーズを取り込み、前年比+10%を超える成長となった。売上高は約500億円とブランドの認知とともに存在感のある規模感になっている。MTGの業績と株価の行方は?

「Refa(リファ)」「SIXPAD」のMTG、業績急回復も営業利益10%の壁!(2021年11月20日投稿)

「SIXPAD」「ReFa」を展開するヘルスケア器具販売のMTG!業績の行方は?(2021年4月25日投稿)

■基本情報(2022年12月9日時点)

  • 株価:1,302円(10年来高値:8,120円)
  • 時価総額:522億円
  • 予想PER:36.6倍
  • PBR:1.25倍
  • 予想配当利回り:0.76%
  • 自己資本比率:81.8%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:13,052人(2021年9月30日時点)

■MTGの業績は?

 MTGの2022年9月期の売上高は490億円(前年比+14.5%増)、営業利益32.4億円(前年同期比△16.7%減)の増収減益となった。MTGの売上総利益率は+64%(前年は+70%)、営業利益率は+7%(前年は+9%)と利益率は悪化している。

 MTGの売上総利益は314.3億円(前年は+300.8億円)に対して、販管費が281.9億円(前年は261.9億円)。売上総利益は+13億円ほど増加したものの、販管費が+20億円ほど増加したため、差し引きで前年比割れの営業利益となった。

■MTGの事業状況は?

 MTGの売上高は順調だ。不正会計問題で上場後に売上高が大きく下落したものの、2019年9月期から回復傾向がつづく。美容機器ブランド「ReFa」は不正会計前に迫る規模感(2018年9月期の売上高は321億円、2022年9月期は296億円)まで回復している。

 トレーニングスーツなどのブランドである「SIXPAD」は過去最高の売上高(153億円)となった。マクロ的には中国ロックダウンの影響でグローバルが前年割れの売上高と苦戦している。粗利(売上総利益率)の悪化は円安による仕入コストの増がきいていると決算説明資料で説明している。

 MTGの状況をマクロ的にみると、国内は過去最高の売上高を達成。いっぽう、グローバルで苦戦している状況だ。特に中国で苦戦していると思われる。

■MTGの販管費は?

 MTGの販管費内訳をみると、マーケティング費用が前年の88.1億円→79.6億円と△8.6億円コスト抑制している。ここに広告費が入っている。人件費は67.5億円→73.6億円と+6億円の増となっている。よくわからないのは、その他が82.3億円→100億円と約18億円ほど増加している。

■MTGの何の製品が売れているか?

 MTGで売れているのはFINE BUBBLE SHOWER(ファインバブルシャワーシリーズ)が発売から2年で累計100万本を突破。2022年9月期の売上高100億円を突破と公表しているため、売れ筋商品が業績を支えている構造が見える。

 もう一つHAIR CARE(美容サロン向けのヘアドライヤー等)も2022年9月期の売上高が100億円を突破。「サロンクオリティ」というのがキーワードだ。

■競合他社のヤーマンと比較すると?

 MTGは美容機器ではヤーマン(時価総額:約780億円)と重なる部分が多い。ヤーマンは売上高500億円、営業利益100億円を計画している。売上規模はほぼ同じであるものの、ヤーマンのほうが利益率が圧倒的に高い。ただ、時価総額の差異はそれほど大きいものではない。ボタニカルシャンプーで有名なI-neも「SALONIA」というサロン向けのヘアドライヤーで数十億円を売り上げている。かなり、ヘアドライヤーなどの美容機器の領域は競争が激しくなってきているのではないだろうか。

美顔器等の美容機器メーカーのヤーマン(YAMAN)、中国本土の販売好調!(2021年6月19日投稿)

ボタニカルシャンプー「BOTANIST」のI-ne、若干の停滞感、今後の行方は?(2021年11月21日投稿)

■MTGの財務状況は?

 MTGの財務状況はきわめて健全だ。2022年9月30日時点の状況をみると、現預金は165億円、商品96億円、いっぽう、有利子負債はゼロだ。資本金(資本剰余金含む)を330億円もっている。MTGは上場時に約350億円の増資をしており、潤沢に資金をもっている。

■MTGの株価の行方は?

 MTGの時価総額は約520億円。2020年3月のコロナショック時は時価総額200億円くらいまで下落したものの、いまは妥当な水準まで株価は戻っている。MTGはファブレスメーカーであり、利益率が高い。いっぽう、売上規模がすでに大きく、いまの規模を維持するためには一定の広告宣伝費(マーケティング費用)が必要だ。

 MTGが広告宣伝費を削ったりして、コスト構成を改善するならば、ヤーマンの時価総額700~1,500億円くらいまでは上昇する可能性はある。いっぽう、いまから株価が5倍、10倍と成長するには何か大きな仕掛けや戦略変更が必要になりそうだ。

(画像1)MTGの株価推移

以 上

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