競合他社で苦戦?塾検索サイト「塾ナビ」のイトクロの停滞つづく!送客ビジネスの行方は?

 塾検索サイト「塾ナビ」を展開しているイトクロ。以前は高収益モデルで高い株価を維持していたものの、最近は広告費を投入しないと売上規模が維持できず損益はゼロ近辺で推移している。クックパッドと同じように、ネットビジネスは下り坂に入ると挽回がむずかしい。今後のイトクロの業績と株価の行方は?

「塾ナビ」「家庭教師比較ネット」などのイトクロ、どんどん下がる株価と業績!(2022年8月7日投稿)

■基本情報(2022年12月9日時点)

  • 株価:312円(10年来高値:3,825円)
  • 時価総額:71億円
  • 予想PER:ー
  • PBR:0.71倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:94.3%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,946人(2021年10月31日時点)

■イトクロの業績は?

 イトクロの2022年10月期の売上高は39.6億円(前年比△7.3%減)、営業損益△2.0億円(前年は+13.1億円の黒字)と減収赤字転落となった。イトクロの売上総利益率は+88.3%(前年は+88.2%)とそれほど変わっていない。イトクロの売上総利益は34.9億円と前年の37.6億円から△2.7億円の減。いっぽう、販管費は24.6億円→36.9億円と+12.3億円の増加となり、営業利益は13.1億円→△2.0億円に減少した。

 イトクロは自己資本比率が高く優良企業と見られていたものの、広告費を大量に投入しても、売上高がそれほど伸びない企業と見られるようになった。レシピサイトを運営しているクックパッドも同様に、ネットビジネスはサイトが陳腐化すると一気に収益が稼げなくなる傾向がある。

■イトクロの何がよくないのか?

 イトクロは塾検索サイトとして、塾などをサイトで紹介して資料請求することで顧客の塾に「送客」する、いわゆる送客ビジネスをしている。送客することで手数料を受け取るサービスだ。いわゆる、アフィリエイトと同じようなビジネスで、成果報酬型の広告ビジネスのようなもの。

 上場企業のなかに「送客」をメインのビジネスにしている企業は多い。たとえば、不動産サイト運営のニフティライフスタイル、賃貸・人材関係のじげん、「ITトレンド」運営のイノベーション、「キャリアパーク」運営のポートなど。

送客ビジネスのニフティライフスタイル、富士通由来の企業!(2022年3月21日投稿)

マッチングビジネス(送客)のじげん(ZIGExN)、業績は急回復!(2022年2月20日投稿)

 イトクロは「競合他社がユーザー獲得のために広告出稿を強化したことを受け、『塾ナビ 』の圧倒的シェアを維持するために広告宣伝費を計画に対して大幅に追加投下」としている。イトクロの決算説明資料によると、塾検索サイトの市場シェアは85.6%と圧倒的シェアを持っているという点と整合性がつかない。

■イトクロの競合他社は?

 イトクロの競合他社になりそうなのは、「ベスト塾ガイド」を運営するDeltaX、「塾ログ」のFREEMIND、「テラコヤプラス」のサイバーエージェントが競合となる。おそらく、大手のサイバーエージェントがもっとも脅威ではないだろうか。

 感覚的には、本当にイトクロの「塾ナビ」は市場シェア85.6%を保有しているのかは疑問が残るが、ネットビジネスは一気に状況が変わる可能性があるので、イトクロが淘汰されるリスクはある。

■イトクロの財務状況は?

 イトクロの2022年10月31日時点の財務状況は、現預金76.5億円。いっぽう、有利子負債はゼロで極めて健全な状況だ。気になるのは前年にくらべて現預金が87.8億円→76.5億円と△11.3億円も減少している点だ。法人税を△6億円支払っているのと、当期の赤字△3.4億円がきいている。

 いまのビジネス動向であれば、財務的に余裕があっても将来を考えると配当や自社株買いが発生する可能性は極めて低いだろう。経営者が攻めのM&Aや新規事業に着手しないかぎり、クックパッドと同じような株価停滞の未来が予測される。

■イトクロの株価推移は?

 イトクロの時価総額は約70億円。当初は割安と思ったものの、売上規模維持のための積極的な広告費投入などがつづくことが予想され、業績が改善するのは難しいかもしれない。ただ、株価は地を這うように推移しているため、ときどき上昇を繰り返しながら横ばい(少しずつ下落)が続くのではないだろうか。

(画像1)イトクロの株価推移

以 上

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