デジタルリスクマネジメントのエルテス、伸びない売上・下がる株価!

 SNSなどインターネット上のデジタルリスクや社内の不正アクセスなどのソリューションを提供しているエルテス。年間売上高は20億円前後で売上高の伸びが鈍化・停滞している。新型コロナウイルス感染拡大でクラウドサービスの需要が急拡大するなか、エルテスは業績と株価ともに伸ばすことができなかった。エルテスは、社会の流れにマッチしそうなビジネスを行っているものの、需要の掘り出しがうまくできていないのではないか。エルテスの業績と株価の行方を探る。

■基本情報(2021年2月26日時点)

  • 株価:1,134円(10年来高値:5,500円)
  • 時価総額:59億円
  • 予想PER:-(赤字予想)
  • PBR:4倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:86.5%
  • 会計基準:日本基準

■エルテスの業績は?

 エルテスの2021年2月期の第三四半期の売上高は13.2億円(前年同期比△9.1%減)、営業利益△2.4億円(前年同期は+2.1億円の黒字)と減収赤字転換となった。売上規模が小さいなか、売上高が前年比でさがっているのはきびしい。

■エルテスの事業内容は?

 エルテスは「デジタルリスク」に的をしぼった事業を展開している。AIセキュリティ事業やDX推進事業もあるものの、売上高の9割はデジタルリスク事業が占めている。デジタルリスク事業はインターネット上のソーシャルリスクマネジメントという顧客企業の求める情報のウォッチや批判コメントのチェック、そして、不正サイトの検出などを行っている。

 もうひとつは、社内のパソコンログの解析による情報漏洩や労務リスクの予兆を察知する内部脅威検知などのサービスだ。競合他社としては、日立システムズ、ホットリンクなど多数のIT企業が同じようなサービスを提供している。

■契約数が伸びていない!?

 エルテスの中核事業であるデジタルリスク事業は顧客数・契約数が横ばいだ。新型コロナウイルスの影響によりクラウド関連やECサイトの需要は急拡大しているものの、デジタルリスクには追い風は吹いていない。顧客数は450社ほどで横ばいとなっている。

■エルテスの株価の行方は?

 エルテスの株価は上場以来、下落トレンドがつづいている。上場来高値からすでに5分の1くらいまで株価は下落しているものの、反転の兆しは見えない。インターネット上の批判コメントなども無料ツールなどで自動で収集できるため、あえて外部に委託する必要がなくなってきている。デジタルリスク事業については、専門事業者として、プラスの効果などを打ち出す必要がありそうだ。

 株価チャートをみると、そろそろ反転しそうな気がするものの、事業内容に伸びる要素がなければ一時的な反発で終わってしまう。エルテスの新規事業や新サービスなどに伸びる要素がないかウォッチは必要だ。

(画像4)エルテスの株価推移

以 上

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