円安直撃のバルミューダの決算、2023年度は売上高減の厳しい業績見通し!

 BALUMUDA(バルミューダ)のブランドでトースター、ケトル、扇風機などのオシャレな家電を販売しているバルミューダ。昨年はスマートフォンの販売で話題を集めたものの、ヒットすることはなかった。2022年度の決算は円安による原価高で業績は悪化。海外協力工場を活用したファブレスメーカーとしての弱点が露呈した形だ。今後の業績と株価の行方は?

ファブレスメーカーのバルミューダ、高い利益率は維持できるか!?(2022年2月13日投稿)

■基本情報(2023年2月10日時点)

  • 株価:2,442円(10年来高値:10,610円)
  • 時価総額:205億円
  • 予想PER:約1万倍
  • PBR:3.22倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:63.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:7,103人(2021年12月31日時点)

■バルミューダの業績は?

 バルミューダの2022年12月期の売上高は176億円(前年比△4.3%減)、営業利益75百万円(前年は+15.2億円)と減収減益となった。バルミューダの売上総利益率は+31.1%(前年は+39.8%)、営業利益率は+0.4%(前年は+8.3%)と大きく悪化している。

 バルミューダの売上総利益は73.2億円→54.5億円と△18.7億円の減益。販管費は58.0億円→53.9億円と4.1億円の減少となったものの、売上総利益の減少をカバーできずに大きなマイナスとなった。

 売上原価の悪化要因は、円安が進んだことだ。ファブレスメーカーとして海外工場に生産委託しているバルミューダとしては従来より為替リスクを抱えており、その利益モデルのマイナス点が露呈した形だ。販管費については、広告宣伝費、試験研究費を大幅に削減しており、その結果として約4億円の削減となった。しかしながら、新しいコンセプトを打ち出す家電メーカーとしては試験研究費の減は将来の種がまかれていないことを指し、将来の成長力に影響がでる。

■バルミューダの反省点は?

 バルミューダは円安のマイナス要因があるものの、売れる商品を投入できていないことが要因だ。結果として売上高が伸びていない。バルミューダの製品は、競合他社(パナソニック、ダイソン、タイガー、象印などの日系メーカー)とくらべて2~3倍くらいの高価格帯を打ち出しているものの、その売れ行きが前年を上回ることができなかった。

 バルミューダはすでに高価格帯の商品ブランドであり、さらなる値上げは消費者が離れる可能性もあり、値上げの余力はそれほどないだろう。

■2023年度の業績計画は?

 2023年度は売上高167億円(22年度:176億円)、営業利益1.0億円(22年度:0.8億円とかなり悲観的な業績予想を出している。成長戦略を描くことができていない計画であり、投資家が集まる予想ではない。

 2023年度はスマートフォンの販売額は4.0百万円とほぼ販売しない計画になっている。地域別にみると、日本は109億円(22年度)→123億円(23年度)と+13%の増加、韓国は43億円→24億円に大きく下落の見通しだ。韓国の売上見通しを大きく落としている理由は説明されていない。

■バルミューダの財務状況は?

 バルミューダの2022年12月末の財務状況をみると、現預金は12.5億円、商品在庫は37.1億円(前年度末:25.4億円)。いっぽう、有利子負債は約14億円となっている。財務状況は健全ではあるものの、商品在庫37.1億円は売上規模に換算すると約57億円に相当し、売上高換算で約3.8カ月の在庫を保有している。

 ファブレスメーカーの要求で、ある程度の生産ロットで発注をしたためか、あるいは、戦略的に在庫を積み増ししたのか不明であるものの、去年にくらべても在庫金額が大きすぎる。心配されるのは、安値でのセールス販売などだ。

■バルミューダの株価推移は?

 バルミューダの時価総額は約200億円。いまの業績からすると、ここから半値になってもおかしくない。数年前はバルミューダの製品は、オシャレで機能的な印象があったものの、類似した製品が家電ショップにあふれており、それほど目を引く製品ではなくなってきたのではないだろうか?

 ただ、バルミューダとして築いたブランド価値があり、あまりに販売が苦戦するならば、中国の家電メーカーなどに買収される可能性があり、思惑でそれほど株価は下がらないのではと深読みしてしまう。ただ、ここから株価が2倍~3倍に業績で上がっていくには厳しいのではないだろうか。

(画像1)バルミューダの株価推移

以 上

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