西日本シティ銀行と日本リースとの業務提携により1974年に設立された九州リースサービス(当時はユニオンリース)。1988年に福岡証券取引所に上場し、2016年11月に東証第二部に上場、2017年12月に東証第一部に上場した総合リース会社。2017年を天井にアベノミクスの波に乗れず、株価の下落基調がつづいている。いったい、どこで反転するのか?
■基本情報(2020年5月1日時点)
- 株価:433円
- 時価総額:112億円
- 予想PER:4.4倍
- PBR:0.32倍
- 予想配当利回り:3.23%
■割安に放置された九州リースの株価、調整はいつ頃?
九州リースサービスは、毎年安定的に売上高を伸ばしていて、2018年度は売上高245億円と前年比+5.1%の増収。営業利益は34億円で、こちらも前年比+10.2%となっている。予想PER、PBRを見ても、株価は割安で放置されていて人気がない。
九州リースのセグメント別損益をみると、営業利益を引っ張っているのはリース事業ではなく不動産事業。2018年度の不動産事業は売上高66.7億円、営業利益は18.7億円と営業利益率は28%となっている。いっぽう、主力のリース事業は売上高156億円、営業利益は12.4億円にとどまる。つまり、総合リース会社でありながら、株式市場からは不動産会社的な位置づけで評価されている面が株価に織り込まれている。
低迷する株価の反転を考えると、リース事業を中心とした不動産事業以外のビジネスを伸ばしていく必要がありそうだ。九州リースの2019年12月末のバランスシートを見ると、販売用不動産として74.9億円が計上されている。今後は不動産事業で稼ぎながら、稼いだお金を不動産以外に展開していくことをPRしていく必要がある。
■九州地区では圧倒的な存在感のリース会社
九州・沖縄に本社を置くリース会社として、西日本総合リース、琉球リース、肥銀リースなどが大手であるものの、九州リースは経常利益額、経常利益率(14%前後)では圧倒的なトップを走る。
九州リースは、一般リースとして情報通信機器、商業機器などを展開するだけでなく、建物リースを22施設40テナントで展開している。新型コロナウイルスの影響を受けて、この建物リースにどのような影響がでてくるか引き続きウォッチは必要だ。
また、リース事業、不動産事業だけでなく、手数料ビジネスとして、生命保険、損保などの代理店も展開している。今後はシェア拡大だけでなく、新規ビジネスを展開して事業規模の拡大を狙っているのか、トランクルール事業やカプセルホテルなどの事業に出資をしている。
■株価チャート的には?
九州リースの株価推移は、福岡証券取引上場時の株価は400円前後で横ばいだったものの、2016年11月に東証第二部に上場してから2017年後半までは右肩あがりを見せていた。ところが、2017年後半に天井をつけてから現在まで、右肩さがりがつづいている。
九州リースは順調に利益を積み上げて成長しているものの、事業に目新しさがないため割安に放置されている。今後は新規事業などでしっかりPRをしていくか、株式マーケットに適切に株価を評価されるまで待つか、どちらかだ。いったん上昇トレンドに乗れば、息の長い上昇トレンドを見せるかもしれないので、引き続き注目したい。
以 上