アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)出身の社長CEOが率いるマネジメントソリューションズ(以下、MSOL)。PMOと呼ばれるプロジェクト全体の進捗管理・課題の可視化を得意とするコンサル会社で、特に大企業に強いのが特徴。発注側(顧客側)の立場でマネジメント支援を実施し、顧客から信頼を得ている会社だ。MSOLの業績と株価の行方は?
プロジェクトマネジメント支援のマネジメントソリューションズ(MSOL)!(2022年5月7日投稿)
■基本情報(2023年5月2日時点)
- 株価:3,110円(10年来高値:5,210円)
- 時価総額:523億円
- 予想PER:39.9倍
- PBR:19.21倍
- 予想配当利回り:0.06%
- 自己資本比率:44.0%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:3,578人(2022年10月31日時点)
■MSOLの業績は?
MSOLの2023年10月期の第一四半期の売上高は38.2億円(前年同期比+60.2%増)、営業利益2.2億円(前年同期比+16.6%増)の増収増益。MSOLの売上総利益率は+35.0%(前年は+39.1%)、営業利益率は+5.7%(前年は+7.9%)とコンサルとしては利益率が低い。
MSOLの売上総利益は前年9.3億円→13.4億円と+4.1億円の増加となったものの、販管費は前年7.4億円→11.2億円と+3.8億円の増加となり、営業利益は+0.3億円の小さな増加にとどまった。
■MSOLの事業の全体感は?
MSOLの従業員数は944名(そのうちコンサルタントは791名)と利益の源泉である従業員数は伸びている。採用コストは1人あたり290万円(前期:300万円)。MSOLのビジネスモデルは「月単価×コンサルタント数×稼働率」の計算式で、現在の稼働率は約90%となっている。中途・新卒入社のうち、稼働のための教育期間を考慮すると、ほぼフル稼働という状況だ。
MSOLの販管費(11.2億円)の内訳をみると、人件費2.6億円(前年は1.4億円)、採用教育費3.4億円(前年は1.8億円)となっている。コンサルタントの費用はすべて売上原価に計上していると思われる。
■MSOLの事業の特徴は?
MSOLの強みは何か?コンサルティングサービスを提供している上場会社は多く、たとえば、ベイカレント・コンサルティング、プロレド・パートナーズ、プロジェクトマネジメントなど数多くの企業がサービスを提供している。最近ではDXの需要が大きく、DXの変革は変わらないと見て、積極的にサポートするコンサルティング会社も多い。
UI/UX調査のプロジェクトカンパニー、DX領域で急成長つづく!(2023年5月4日投稿)
DXコンサルティングのベイカレント、業績好調つづく!(2021年10月23日投稿)
追い込まれるプロレド・パートナーズ、コスト削減だけでなくプロサインも苦戦に!(2023年3月18日投稿)
MSOLは取引企業の45%が売上高1,000億円以上の大企業であること、取引企業の31%が売上規模数兆円規模のグループ企業である点だ。つまり、大企業の考え方を熟知したコンサルティングを提供することが売り。
また、プロジェクトマネジメントを得意としており、そこに特化することで強みを出している。大企業と言っても、新しいプロジェクトに慣れていない人も多いため、MSOLのようなサポート企業が活躍する余地が大きい。
■MSOLの財務状況は?
MSOLの2023年1月末の財務諸表をみると、現預金は22.3億円、のれん3.8億円、敷金4.2億円が主な資産。有利子負債は約19億円と大きく、財務的には健全なものの、自己資本比率がコンサルティング会社としては40%台と低い。
MSOLの2022年10月度のキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+1.5億円と運転資金増により税後利益の+8.6億円から大きく減少、投資CFは△6.1億円、財務CFは+8.1億円と長期借入金を+16億円ふやしたことで大きなプラスとなっている。
■MSOLの株価推移は?
MSOLの時価総額は520億円と大きい。株価指標的には割高だ。コロナ禍でも株価は堅調に推移しており、利益の増加というより、売上高の伸びによる将来の期待感が株価を押し上げた感がある。MSOLよりもプロジェクトカンパニーのほうが成長性や利益性が高く、今後の株価の見方が変わってくるキッカケになるかもしれない。
正直、MSOLはPBRが19倍を超えているものの、それほど利益率も高くないため、株価が行き過ぎ感がある。どこかで大きく調整されるのではないだろうか。
以 上