独創的な家電メーカーのバルミューダ、富裕層中心にハイブランド価値を提供!

 スチームトースター、空気清浄器、オーブンレンジ、扇風機など独創的でオシャレな生活家電を生み出しているバルミューダ(BALMUDA)。従業員数は2020年12月末時点で110名。5年前くらいからバルミューダの製品は家電量販店などで見かけることが増え、いまでは高級家電ブランドというイメージが定着してきた。扇風機が3.5万円くらいで販売されており、一般的なメーカーの5倍~6倍ちかい価格帯で販売。バルミューダの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年7月21日時点)

  • 株価:5,740円(10年来高値:10,610円)
  • 時価総額:477億円
  • 予想PER:51.2倍
  • PBR:8.64倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:61.5%
  • 会計基準:日本基準

■バルミューダの業績は?

 バルミューダの2021年12月期の第一四半期の売上高は37億円(前年同期比+92.7%増)、営業利益4.5億円(前年同期比+431.4%増)の大幅な増収増益となった。バルミューダの売上総利益率は+42.3%(前年同期は+42.0%)、営業利益率は+12.3%(前年同期は+4.5%)と改善している。

 バルミューダの商品は売価が高いため、他の家電メーカーにくらべて売上総利益率が非常に高い。バルミューダはOEM方式で生産しており、自社では生産拠点をもっていないのも高収益の理由のひとつ。バルミューダの地域別販売をみると、全体の65.9%は日本、26.3%が韓国となっている。基本的に日本と韓国で販売している構造だ。製品別ではスチームレンジなどのキッチン関連が全体の58.5%、扇風機などの空調関連が18.4%の比率になっている。

■バルミューダの製品は?携帯端末に参入!?

 バルミューダは2021年11月以降に5Gスマートフォンの開発・販売を公表している。製造パートナーは京セラで、国内通信キャリアはソフトバンクのみで取り扱いの予定だ。ただし、SIMフリーモデルも販売を計画しており、Amazonや家電量販店でもSIMフリーモデルを手に入れることはできそうだ。

 バルミューダはキッチン関連と空調関連の製品が多い。キッチン関連では、スチームトースター(約2.6万円)や電気ケトル(約1.2万円)やオーブンレンジ(約4.3万円)、3合炊き電気炊飯器(約4.0万円)。空調関連は、扇風機(約3.5万円)、サーキュレーター(約1.7万円)、空気清浄器(約5.7万円)など。

 バルミューダは同社がハイブロー層と呼ぶ所得の高い知識層を主なターゲットとしている。オーブンレンジ以外は市場平均価格の数倍という価格帯で販売している。家電メーカーとしては高い収益率を出しているものの、決算説明資料をみると、2018年にトースターで20万台規模のリコールを実施したときは赤字に陥ったようだ。

■バルミューダの株価推移は?

 バルミューダの時価総額は470億円。2021年1月には一時、時価総額1,000億円近くまで上昇したものの、株価は半値近くまで下落している。バルミューダの2021年12月期の業績予想は売上高181億円、営業利益14.5億円に修正。新型コロナウイルスの影響により、海外旅行などに行かない代わりに、高級家電などを買う動きがつづいていると思われる。家電量販店の業績は絶好調であり、バルミューダにも追い風になっているはずだ。

 いっぽうで、バルミューダの平常時の成長度合いと株価評価が見えない点が悩ましい。コロナ禍で旅行などのレジャー需要の代わりに家電・家具・自動車などの生活用品の需要が急拡大しているものの、耐久消費財のため翌年以降も特需がつづくかわからない。コロナ禍が収まったときには、レジャー需要などの拡大により、耐久消費財への消費抑制の可能性もありえる点に注意が必要だ。

(画像1)バルミューダの株価推移

以 上

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