再生可能エネルギーのレノバ、重い金利負担!株価の行方は?

 太陽光発電とバイオマス発電を中心に再生可能エネルギーの発電事業を行っているレノバ。2021年2月12日に第三四半期の決算を発表したところ、増収減益となった。売上高は着実に増加しているものの、有利子負債による支払金利が重く経常利益は前年比でマイナス19%となった。注目を集める再生可能エネルギー事業を展開しているレノバの業績と株価の行方はどうなるのか?

数年先の成長が見えているレノバ(9519)、再生可能エネルギーに特化!(2020年10月4日投稿)

■基本情報(2021年2月12日時点)

  • 株価:3,555円(10年来高値:4,835円)
  • 時価総額:2,754億円
  • 予想PER:342.4倍
  • PBR:15.8倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:7.4%
  • 会計基準:日本基準(2021年3月期の4QよりIFRSの任意適用開始)

■レノバの業績は?

 レノバの2021年3月期の第三四半期の売上高は163億円(前年同期比+19.5%増)、営業利益47.7億円(前年同期比△2.6%減)の増収減益となった。レノバは1,200億円ほど有利子負債(借入金、リース債務、社債など)を保有しており支払金利が重い。そのため、支払金利などを反映した経常利益を見ておく必要がある。レノバの経常利益は25.2億円と前年同期にくらべて△19.9%の減少となっている。

 前期は特別利益として大規模太陽光3事業の連結化に伴う段階取得差益として+19.5億円を計上していたものの、今期は計上がなかった。レノバは有利子負債による支払利息の負担が重く、今期は15.2億円の支払利息を計上している。有利子負債の支払金利の率は有価証券報告書をみると、1.5%前後とみられる。レノバの業績で気になるのは、発電事業は伸びているものの、開発・運営事業(発電所の建設期間・売電機関に支払われる運営管理報酬)が営業赤字(△2.1億円)になっている点だ。

■見えないレノバの業績の全体像!?

 レノバの2021年3月期のIFRS基準での決算予想は、仙台蒲生バイオマスのコールオプション公正価値評価益の計上により+27.6億円の特別利益が計上され、税引前利益が期初予想より+15億円になる見通し、と公表されている。正直、会計的な表示の問題で、レノバとして会社がよくなっているか個人投資家にはわからない説明だ。

■レノバの状況はB/Sで見る!

 レノバの損益計算書は会計基準が変わったり、コールオプションなど複雑な利益を計上しており実態が見えない。貸借対照表(B/S)を見ると、有利子負債が2020年3月期末よりも100億円増加しており、支払利息の負担が重くなっていることがわかる。かりに借入金利が1%上昇した場合、レノバの利益は年間で△12億円ほど悪化する計算になる(金利スワップなどを締結していることは考慮せず)。

 今回、注目すべき点は、「バイオマス発電事業の燃料調達契約に伴い締結した為替予約の時価評価」として77億円の包括利益の減少を計上している点だ。レノバは、デリバティブ取引として為替予約や金利スワップを活用しており、現時点で解約した場合、77億円の実損が発生するというもの。レノバの決算説明では詳しく解説されていないが、この影響により自己資本比率は7%まで減少している。おそらく、海外から購入する燃料に対して、為替が円高にふれた時点で長期の為替予約をしたものの、現在はそのとき以上に円高にふれて、結果的に割高な予約をしてしまったのだろう。

■FIT買取価格の推移

 レノバは大規模太陽光発電とバイオマス発電を中心にビジネスをおこなっている。再生可能エネルギーの固定価格買取制度であるFIT価格を適用しているため、2020年12月中旬から起こった日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引価格の高騰の影響はプラスにもマイナスにも影響はなかった。FIT価格は段階的に値下げが起こっており、とくに太陽光発電の価格下落ははげしい。レノバにとってFIT価格の下落は値下げであり、これ以上の値上げの可能性が見えないのが悩ましい点だ。

■レノバの株価の行方は?

 レノバは再生可能エネルギーの将来的な期待により2020年10月より株価が暴騰した。現在の時価総額は約2,700億円となっており、予想PERやPBRなどをみると株価は割高だ。当面は大幅高や大幅安を繰り返しながら、下落をつづけていくと思われる。レノバで最も起こりえるのは増資。レノバの財務状況は有利子負債の比率が高く、時価総額が高い「いま」増資に動く可能性は考えらえる。

(画像5)レノバの株価推移

以 上

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