クラウドサービスの一元管理サービス「HENNGE One」を中心にビジネスを展開しているHENNGE(へんげ)。2021年9月期の第一四半期の決算を発表したところ、翌営業日の2021年2月12日は前営業日にくらべて10%を超える株価の下落となった。もともと株価は割高と見られていたことに加えて、四半期ベースで売上高が減少してしまった点が大きなマイナスだ。HENNGEの業績と株価の行方ははどうなるのか?
クラウドサービスへのシングルサインオン提供のHENNGE(へんげ)、月次解約率は0.16%!(2020年12月29日投稿)
■基本情報(2021年2月12日時点)
- 株価:7,900円(10年来高値:10,610円)
- 時価総額:1,265億円
- 予想PER:655倍
- PBR:71.89倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:44.4%
- 会計基準:日本基準
■HENNGEの業績は?
HENNGEの2021年9月期の売上高は11.3億円(前年同期比+20.7%増)、営業利益は2.0億円(前年同期は△3百万円の赤字)と増収黒字転換となった。HENNGEの売上総利益率は+82.8%、営業利益率は+17.7%と高く、クラウド会計のfreeeなど他のクラウドサービス会社であるラクス、サイボウズ、マネーフォワードなどと同様に収益性の高いビジネスモデルとなっている。このようなビジネスモデルだからこそ、コロナショック後の一貫した株価上昇となっていた。
■HENNGEに異変?売上高の減少!?
今回のHENNGEの決算で注目すべきは、四半期ベースでみると売上高が減少している点だ。2020年4Qでは11.5億円だった売上高が、2021年1Qでは11.3億円と減少に転じている。HENNGEの主力サービスである「HENNGE Oone」の契約企業数は1,667社→1,752社と+85社増加しているものの、契約ユーザ数は195万人→194万人と約9千人の減少となった。
HENNGEの決算説明資料によると、大口顧客(約8万ユーザ)の解約が契約ユーザ数減少の主な要因と説明している。今回の契約ユーザ数の減少はたまたまの特殊要因であるのか、ニーズの減退なのか見極める必要がありそうだ。HENNGEはほかのクラウドサービスの会社と異なり、広告宣伝費をそれほど投入していない。クラウドサービスは売上総利益率が高く、売上規模が増えれば爆発的に利益は増える仕組み。近い将来、freee(フリー)やマネーフォワード、ラクスのように積極的な投資期間として広告宣伝に力をいれる時期は来るのか注目したい。
■HENNGEの株価の行方は?
HENNGEの時価総額は約1,300億円。今回の決算がターニングポイントとなって下落トレンドに行くのか引き続き注目が必要だ。株価指標的には、PBR72倍をみると割高なことがわかる。次回の四半期決算では売上高の減少が一時的な要因か見極める必要がありそうだ。当面は大幅高と大幅安を繰り返しながら、株価の方向性をさぐっていく展開になりそうだ。
以 上