サーバー管理(ホスティング)と電子認証が主力のGMOクラウド。GMOクラウドは、GMOインターネットが51%を保有するGMOグループの会社。新型コロナウイルスの影響により脱ハンコの流れが高まり、株価は上場来高値圏でもみあっている。わずか2カ月で株価は4倍近くまで上昇。新規売りが制限(売り禁)の状況で、GMOクラウドは、このまま高値を維持できるか様子見が必要だ。
■基本情報(2020年6月12日時点)
- 株価:7,190円
- 時価総額:841億円
- 予想PER:73.1倍
- PBR:13.73倍
- 予想配当利回り:0.68%
■安定した成長と株価急騰のアンバランス!
GMOクラウドの事業は堅調だ。2020年12月期の予想は、売上高137億円(前年比+4.4%)、営業利益15.4億円(前年比+7.1%)。成長性と収益性を考えると、それほど伸びている会社ではなく、営業利益率も10%を超える程度。新型コロナウイルスの影響により、対面での押印が必要なビジネス文化から、非対面で承認・契約締結ができる電子契約への普及がすすむのではないか、という思惑により、GMOクラウドの株価は急騰中。
このままGMOクラウドの株価は上昇をつづけるのか?ここまで急騰しすぎると、高い確率でどこかで下落すると考えてしまう。GMOクラウドの予想PERは70倍を超え、株式指標的には割高な株価まできている。このまま上昇トレンドをつづけるには、業績面でのサプライズが必要だ。
■GMOクラウドの事業内容は?
GMOクラウドは、クラウド・ホスティング(サーバー管理)、セキュリティ、ソリューションの3つの柱で事業をおこなっている。もっとも稼いでいるのは、セキュリティ事業だ。セキュリティ事業は、ウェブサイトの信頼性や安全性を証明するSSL証明書の発行をしている。SSL証明書(電子認証)により、Eコマースなどネット通販などの安全性が確保されている。
GMOクラウドが力をいれているのは電子印鑑のソリューション事業だ。電子契約サービスとして、電子印鑑「Agree」に力をいれ、GMOグループ全社で、この「Agree」の活用を徹底している。GMOクラウドでは一般的な印鑑の完全廃止の方針を決定している。電子契約のメリットとしては、非対面という点を除いて、印紙税や送料などのコスト削減、業務効率アップなどがある。世の中の流れとして、5年~10年後には電子契約が一般的になっている可能性は高い。
■GMOクラウドの株価推移は?
GMOクラウドの株価をみると、ここ2カ月で大きく上昇している。2020年2月~3月のコロナショックで、いったん大きく下落したものの、底値から4倍ちかくまで急騰している。株価指標的にも割高なため、しばらくは様子見が無難なところ。
GMOクラウドの株価で意識してしまうのは、電子契約で先行する弁護士ドットコム。クラウドサイン(CLOUD SIGN)という電子契約で、GMOクラウドよりも先行しているイメージが強い。弁護士ドットコムの時価総額は約2,000億円、予想PERは400倍を超える水準だ。GMOクラウドのほうが業績面で圧倒的によいものの、前年比+30%以上で成長している弁護士ドットコムのほうが株式市場では評価されているのが現実だ。まさに電子契約の思惑バブルという状況か。
以 上