コンビニ販路も拡充のベースフード、売上高の成長が大きい!今後の行方は?

 20代~40代を中心に完全栄養食のパンである「BASE FOOD」を販売しているベースフード。健康志向の高まりの流れをつかみ、ローソン、ファミリーマート、セブンイレブンとコンビニの販路を拡充し、成長性が一気に改善。赤字が当面つづくものの、期待感の高まりは投資家のなかで広がりそうだ。今後の業績と株価の行方は?

完全栄養の主食という「BASE FOOD」販売のフードテック、ベースフードの行方は?(2023年4月22日投稿)

完全栄養食の「BASE BREAD」のベースフード、新領域で市場を開拓!(2023年1月22日投稿)

■基本情報(2023年7月14日時点)

  • 株価:463円(10年来高値:824円)
  • 時価総額:237億円
  • 予想PER:ー(赤字予想)
  • PBR:14.06倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:33.9%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:8,628人(2023年2月28日時点)

■ベースフードの業績は?

 ベースフードの2024年2月期の第一四半期の売上高は37.3億円(前年同期比+72.7%増)、営業利益は△3.8億円(前年同期は△1.6億円)の増収赤字幅拡大となった。ベースフードの売上総利益率は+49.2%(前年は+58.2%)と原材料単価の高騰などの影響や商品構成の影響で9ポイントの大きな悪化となった。

 ベースフードの売上総利益は前年の12.5億円→18.3億円と+5.8億円の増加、販管費は前年の14.1億円→22.2億円と+8.1億円の増加となり、差し引きで△2.3億円の悪化となった。ベースフードは赤字となっても成長を重視している段階であり、今期は赤字を計画している。

■一気に自社ECが成長!

 今回の決算発表でサプライズとなったのは自社ECの定期注文者が前四半期から+4.7万人も増加し、累計で20.1万人になった。ただ、注意が必要なのは【累計】と記載されており、現時点の定期購入者が20.1万人ではない点だ。チャネル別のEC売上高をみると、自社ECの売上高が22.4億円(前年同期は14.4億円、+55.6%増)と大きく成長している。

 また、コンビニを中心としたリテールチャネルは前年同期の3.9億円→11.9億円と約3倍の成長となっている。現在は4.6万店舗に販売している。

■気になる点は?

 ベースフードの決算説明資料で気になる点がいくつかある。自社ECの第一四半期の売上高は22.4億円、顧客平均購買単価は月5,000円となっており、計算すると14.9万人の月平均購入者数となり、累計の定期購入者数の20.1万人とは乖離がある。もちろん、定期購入者以外の購入もあることを考えると、低購入者数は14.9万人よりも少ないのではないだろうか。

 リテールチャネル(4.6万店舗)は、1店舗あたりの月間売上高が8,800円となっており、30日で換算すると1日あたり293円しか販売できていない。正直、ほとんど売れていないのに大手コンビニが取り扱っていることに驚きがある。すでに、コンビニの配荷率(カバー率)は82.9%まで上昇しており、今後の拡大余地は限られる。

■ベースフードの財務状況は?

 ベースフードの2023年5月31日時点の財務諸表をみると、現預金は21.3億円、在庫は1.7億円と資産はそれほど持っていない。負債をみると、有利子負債は5.3億円、未払金8.0億円、契約負債(前受金)2.3億円となっている。財務的には健全だ。

■ベースフードの株価推移は?

 ベースフードの時価総額は約240億円。現状、通期業績予想は上方修正の可能性を決算説明資料で記載しており、売上高は170億円、売上総利益93.9億円、営業損益△6.0億円となっている。広告宣伝費・販促費は年間で約40億円くらいを想定しており、この部分をコントロールすれば営業損益はうまく着地できるかもしれない。ベースフードの課題は、いかに売上高を伸ばすことができるか、という点に尽きる。

 2022年に香港、2023年5月に中国と海外展開をしており、2023年3Q以降に米国でも展開予定。期待感はあるものの、完全栄養食という領域は大手も参入しており、本当にベースフードが競争力を維持できるか疑問点も残る。

(画像1)ベースフードの株価推移

以 上

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