堅調に成長するライフネット生命!保有契約件数は40万件突破

 インターネットを主力とした生命保険販売を展開しているライフネット生命。安定的に売上高である契約数は伸びているものの、会計基準の影響で責任準備金という引当金を46億円計上しているため、引き続き赤字がつづいている。ただし、その引当金を除くと、実質的には約29億円ほどの営業利益となる。現在は毎月、約9千件前後の新規加入を獲得しており、安定的な成長が期待できる会社のひとつ。ライフネット生命の業績と株価の行方はどうなるのか?

独立系ネット生保のライフネット生命保険、黒字化と株価上昇は?(2020年5月5日投稿)

■基本情報(2021年2月26日時点)

  • 株価:1,499円(10年来高値:1,785円)
  • 時価総額:908億円
  • 予想PER:-(赤字見込み)
  • PBR:5.3倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:31.9%
  • 会計基準:日本基準

■ライフネット生命の業績は?

 ライフネット生命の2021年3月期の第三四半期の売上高は151億円(前年同期比+23.7%)、営業利益△17.1億円(前年同期は△17億円の赤字)と売上高は堅調に伸びているものの、営業利益は赤字となっている。生命保険会社の会計上のルールとして引当金を計上する必要があり、当面は赤字がつづく見込みだ。生命保険はストック型の事業であり、初年度の契約獲得にコストがかかるものの、一度加入するとなかなか解約しにくいサービスのひとつ。ライフネット生命の解約失効率は5.6%(前年同期は7.0%)と改善傾向となっている。

■安定的に増加する保有契約数!

 ライフネット生命の契約件数は40万件を突破。年間換算の保険料収入は179.2億円で、前年比+21.2%増となっている。いっぽう、2020年9月末の生命保険会社の保有契約件数のランキングをみると、ライフネット生命は第32位。1位の日本生命は3,329万件、2位のアフラックは2,434万件、13位のアクサ生命は481万件、26位の楽天生命は84万件、37位のSBI生命は12万件となっている。上位のメガ生保とは比較できないものの、楽天生命はライフネット生命の2倍の契約を持っていることは意外だった。

 ライフネット生命は年間10万件のペースで新規契約を増やしているものの、生保の存在感を出していくには新規契約獲得のスピードアップが必要だ。ライフネット生命はセブン・フィナンシャルサービスと業務提携したり、クラウド会計のマネーフォワードなどさまざまな会社と業務提携をおこなっている。

■ライフネット生命の修正利益の推移は?

 ライフネット生命は修正利益という指標を公表している。生命保険はストック型の収益のため、新規契約取得時に営業費用が発生する。その営業費用を戻したりして修正した利益をみると、ここ数年は25~30億円前後で推移しているというもの。ただし、一般投資家から見ると、他社と比べることができず、あまりわかりやすい指標とは言えない。しかも、ここ数年は30億円弱で成長感は見えてこない。

■ライフネット生命の株価推移は?

 ライフネット生命の時価総額は約900億円。2020年3月のコロナショックで株価は落ち込んだ後、ライフネット生命の株価は安値から3倍ほど株価は上昇した。ライフネット生命の営業利益から責任準備金(引当金)を戻すと、営業利益は30億円ほどになるため、予想PER30倍と考えると、それほど高い評価とは言えない水準だ。

 ライフネット生命は2020年7月に増資を実施し、90.5億円を調達している。この資金の使用用途として、テレビCMなどの新規契約のためのマーケティングに44.5億円を使用予定だ。まだ数年は営業赤字がつづく見込みで、株式市場が将来の成長を正しく評価せず、一時的な下落の場面も起こりえるかもしれないことに注意が必要だ。ただ、ストック型のビジネスモデルのため、年間+20%を超える成長を続ける点は大きなプラス要素。

 ライフネット生命の筆頭株主はKDDI(auフィナンシャルサービス)で保有比率は21.1%。起こりえる可能性としてはKDDIによる連結子会社化が想定される。KDDIやNTTドコモはモバイル通信に限定せず、スマホ契約を中心した金融、サービス、エンタメなど周辺事業の強化を進めている。KDDIにとっては数百億円の買収は資金的には大きなハードルではないため、「au生命」になる可能性はゼロではない。

(画像4)ライフネット生命の株価推移

以 上

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