小田原エンジニアリング、電気自動車(EV)に必要なモーター用巻線設備の行方は?

 自動車、家電製品、OA機器などに使われるモーター。モーターの巻線設備をつくっているのが小田原エンジニアリング。モーター用巻線設備の市場は世界で400億円と言われており、小田原エンジニアリングはその約18%のトップシェアを持っている。小田原エンジニアリングが注目されているのは、これから電気自動車(EV)が普及し、エンジンから駆動用モーターに自動車部品が移り変わることが見えているからだ。小田原エンジニアリングの業績と株価はどうなるのか?

■基本情報(2021年2月26日時点)

  • 株価:2,950円(10年来高値:4,680円)
  • 時価総額:189億円
  • 予想PER:43.4倍
  • PBR:1.31倍
  • 予想配当利回り:0.84%
  • 自己資本比率:56.3%
  • 会計基準:日本基準

■小田原エンジニアリングの業績は?

 小田原エンジニアリングの2020年12月期の売上高は112億円(前年比△15.6%減)、営業利益は5.7億円(前年比△55.8%減)の減収減益となった。いまの小田原エンジニアリングの事業状況をみると、電気自動車(EV)による特需の影響はまったく起こっていない。むしろ、新型コロナウイルスの影響により大きなマイナス影響が発生している状況だ。

■期待されるEV向けモーター用巻線設備!

 小田原エンジニアリングに期待されているのは、EV向けのモーター用巻線設備の需要拡大だ。EV向け駆動モーターは日本電産やアイシン精機などが国内では期待されるメーカー。これらの企業から小田原エンジニアリングへの発注がどこかのタイミングで入ってくると思われるが、いまのところ業績にプラスの影響は見えない。小田原エンジニアリングはIRなどにそれほど積極的ではないため、EV需要などの将来の展望は語られていない。

■EVの量産期まで待つ必要あるのか?

 日本ではEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)の市場シェアは、だいたい10%前後となっている。いっぽう、ヨーロッパでは2020年12月のイギリスのEV+PHEVの市場シェアは23.4%、フランスは19.2%、ドイツは26.6%、スウェーデンは48.8%、ノルウェーは87.1%と日本よりもはるかに高い。ノルウェーではEVだけでも市場シェアは66.7%、オランダは68.9%となっている。日本でもEVの普及が進んでくれば、駆動モーター用の巻線設備の需要が拡大し、小田原エンジニアリングの受注が大きく伸びることが期待されている。

■小田原エンジニアリングの株価の行方は?

 小田原エンジニアリングは受注状況を開示しておらず、EV向けのモーター用巻線設備の受注動向は見えない。株式相場はEV拡大による小田原エンジニアリングの業績向上を見込み、上下に大きく株価は動いている。ガソリン車からEV車への時代の転換点であり、小田原エンジニアリングの業績が上向くタイミングはどこかでくるだろう。見えていないのは、EV向け巻線設備の市場規模だ。現在は年間400億円くらいの市場であるが、新規需要として急拡大するのか今のところ不明な部分が多い。

 小田原エンジニアリングは2020年1月、欧州の自動車メーカーのEVシフトが進んでいることを踏まえて、現地のサプライヤーや完成車向けに巻線設備の子会社を設立している(米国につづいて2か所目)。そろそろ、この子会社の業績面でのプラスの貢献が出てくる頃であり、引き続き、小田原エンジニアリングに注目したい。

(画像4)小田原エンジニアリングの株価推移

以 上

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