Sharing Innovations(シェアリングイノベーション)、成長鈍化のSIer?何が起こっている?

 世の中、デジタルトランスフォーメーションなどが叫ばれるなかでシステムインテグレーターであるSharing Innovations(以下、シェアリングイノベーション)の業績が伸びない。何が起こっているのか?日本国内でIT技術者が足りず、外注委託などが活発ななかでシェアリングイノベーションの売上高が増えていかないことの背景を探る必要がありそうだ。

Sharing Innovations(シェアリングイノベーションズ)、新しいシステム会社!(2022年8月16日投稿)

■基本情報(2023年9月1日時点)

  • 株価:789円(10年来高値:4,990円)
  • 時価総額:30億円
  • 予想PER:26.8倍
  • PBR:2.11倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:69.9%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,800人(2022年12月31日時点)

■シェアリングイノベーションの業績は?

 シェアリングイノベーションの2023年12月期の第二四半期の売上高は25.0億円(前年比△5.0%減)、営業利益△0(前年は+2.1億円)と減収赤字転落となった。シェアリングイノベーションの売上総利益率は+18.6%(前年は+22.9%)と大きく悪化している。

 システムSIerで売上減、粗利悪化、営業利益ゼロは悩まししい。IT投資の需要自体は非常に大きいものの、シェアリングイノベーションが顧客の期待に応える技術がないと考えるのが妥当ではないだろうか。仕事はいくらでもあるはずだが、技術力の低いSIerのところに発注する企業はそれほど多くないからだ。

■業績悪化理由は?

 シェアリングイノベーションの業績悪化理由をみると、人材採用による新卒の即戦力化が遅れている。なお、2022年72名、2023年に43名の新卒を採用している。連結ベースの従業員数が330名くらいの会社に100名以上の新卒を採用するということは、離職者がそれほど多いということだ。

 シェアリングイノベーションの従業員数は335名、平均年齢30.6歳、平均年収427万円となっている。IT業界で年収430万円というのは非常に低い。正直、平均年収は580~650万円くらいはほしいところ。人材を事業に役立てるレベルまで育てる環境を作れていない可能性がある。シェアリングイノベーションは本来であれば中途採用で即戦力の人材を増やすべきであるものの、おそらく給与水準が低く、高い能力の人を採用する余力がないのだろう。

■人材の能力不足?

 シェアリングイノベーションは大企業向けにセールスフォース導入をかかげているものの、いまの人材の能力では顧客の期待に応えることはできないだろう。よって、受注をとっても引き渡しまで難しいのではないだろうか。

■シェアリングイノベーションの財務状況は?

 シェアリングイノベーションの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は6.9億円、のれん4.9億円となっている。有利子負債はゼロで、利益剰余金は6.3億円となっている。財務的には健全だ。

■シェアリングイノベーションの株価推移は?

 シェアリングイノベーションの時価総額は約30億円。株価指標的には割高でも割安でもない。ただ、シェアリングイノベーションの粗利率が低すぎて、将来的な成長の絵が見えない。人材面でそれほど期待できる技術力を備えた企業ではないように見える。平均給与が低いところは、なかなか株価は上昇しにくい。

(画像1)シェアリングイノベーションの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする