新製品や新サービスのテスト販売的な位置づけで利用される0次流通市場をリードしているマクアケ。新型コロナウイルスが広がった2020年3月以降は積極的な広告宣伝などにより注目を集めたものの、マクアケの成長率が想定よりも下回り、業績下方修正することとなった。成長企業であって、売上高を10%近く下方修正することになり株価は大きく下落。マクアケの業績と株価はどうなるのか?
新商品デビュー市場(0次流通市場)のマクアケ(Makuake)、成長加速も株価は下落!(2021年4月24日投稿)
■基本情報(2021年7月30日時点)
- 株価:4,530円(10年来高値:13,770円)
- 時価総額:558億円
- 予想PER:272.2倍
- PBR:8.31倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:64.4%
- 会計基準:日本基準
■マクアケの業績は?
マクアケの2021年9月期の第三四半期の売上高は33.3億円(前年同期比+59.3%増)、営業利益2.0億円(前年同期比△62.1%減)の増収減益。マクアケの売上総利益率は+83.3%(前年同期は+82.2%)、営業利益率は+6.0%(前年は+25.3%)。
マクアケのGMV(応援購入総額)は157億円。今回の決算発表と合わせて、業績下方修正を発表した。当初計画ではGMVは249億円、売上高51.7億円、営業利益6.2億円だったが、修正計画ではGMV220億円、売上高46.7億円、営業利益3.1億円。GMVで△11.9%減、売上高で△9.7%減となった。
■販管費の増加が利益率悪化に!
マクアケは売上総利益率は80%を超えており、売上総利益額は第三四半期までで27.7億円を稼いでいる。いっぽうで、販管費を25.7億円計上しており、営業利益が2億円しか残っていない。販管費の内訳をみると、人件費が前年同期比で倍増(第三四半期:1.2億円→2.3億円)、広告宣伝費を四半期で平均4億円ほど計上している。
マクアケの商品やサイトをみると、マクアケで特定のものを応援購入(マクアケでは購入行為を「応援購入」という)するというよりも、特定商品のネット広告に引きつられてサイトを見るということが多い。結果として、応援購入を増やすには個別案件のネット広告が必要になるケースが多い。
■大企業とのコラボレーションも!
マクアケは中小・中堅企業のテスト販売だけをしているわけではない。最近では大手企業の出品も増えてきた。たとえば、川崎重工、BEAMS、京セラ、ワールド、デサント、MTGなどの上場企業も少なくない。
■マクアケの株価の行方は?
マクアケは2020年11月に上場来高値をつけてから株価下落がつづいている。すでに高値から1年足らずで3分の1レベルまで下落。マクアケは2021年2月に公募増資を実施して37億円の資金調達をしている。そのときの発行価格は1株あたり8,091円で希薄化率は約4%。この公募増資もマクアケの株価下落トレンドを加速させた要因のひとつ。
マクアケの成長率は前年比+60%前後。この成長率が伸びるようであれば株価は上昇トレンドに戻る可能性はあるが、売上規模が大きくなるなかで加速させることはむずかしい。現時点で時価総額は約560億円あり、株価指標的には割高だ。当面、様子見が無難だ。
以 上