帳票・文書管理サービス提供のウイングアーク1st、企業のDX化が追い風!

 さまざまな帳票(請求書、保険料控除申請書、Eチケットなど)のデジタル化サービスを提供しているウイングアーク1st(以下、ウイングアーク)。デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進やオンプレミス環境(企業がサーバー設置)からクラウド化への転換、電子帳票需要の拡大などマーケットの追い風がつづいているクラウドサービス業界。ウイングアークもその1つ。ウイングアークの業績と株価はどうなるのか?

■基本情報(2021年7月30日時点)

  • 株価:2,039円(10年来高値:2,705円)
  • 時価総額:668億円
  • 予想PER:15.5倍
  • PBR:2.51倍
  • 予想配当利回り:2.02%
  • 自己資本比率:46.3%
  • 会計基準:IFRS基準

■ウイングアークの業績は?

 ウイングアークの2022年2月期の第一四半期の売上高は47.1億円(前年同期比+11.2%増)、営業利益14.1億円(前年同期比+17.6%増)の増収増益となった。ウイングアークはIFRS基準を採用しているため、日本基準と損益計算書の表示が異なり、売上総利益が表示されていない。ウイングアークの営業利益率は+29.9%(前年同期は+28.3%)と高い。

■ウイングアークの事業内容は?

 ウイングアークはIT企業。帳票・文書管理サービスとして、請求書、納品書、決算関係帳票などさまざまな帳票を作成するシステムサービスを提供している。大企業や官公庁などで導入されている。もう一つは、データエンパワーメントというビッグデータの集計・分析などのサービスや「Motion Board」というデータを可視化するサービスを提供している。たとえば、企業の棚卸在庫について「どの部品、材料、製品がどのくらい多いのか」などを色を表示して見えるサービスなどを提供している。

 一般の消費者がウイングアークのシステムを操作する機会はほとんどないが、企業や官公庁のシステムの一部に採用されているケースが多い。ウイングアークは保守契約やサブスクリプション契約のリカーリング比率が約6割を占めており、毎期の売上高が加算されるビジネスモデルとなっている。

■再上場したウイングアーク

 ウイングアークは2021年3月に東証一部に上場。しかしながら、ウイングアークは、もともとは1stホールディングスという商号で2010年12月にジャスダック市場スタンダードに上場し、2012年2月に東証二部に上場、2013年9月にMBO(マネジメント・バイアウト)で上場廃止となっている。上場廃止時の時価総額は約300億円(現在は約670億円)。

 オリックス系のファンドからカーライル・グループというファンドに所有者が変わり、2021年3月に東証一部に再上場することになったウイングアーク。ファンドが主導した再上場企業では巨額の「のれん」を計上してIFRS基準(のれんを償却しない)を適用するケースが多い。ウイングアークもIFRS基準を採用しており、計上している「のれん」は270億円となっている。

 最近、再上場した企業では、バリオセキュア、マクロミル、雪国まいたけ等もIFRS基準を適用し、大きな「のれん」を計上している。バリオセキュアの「のれん」は50億円、マクロミルは480億円を計上しており、企業規模に比べると金額が大きのが特徴だ。再上場企業は上場直後はなかなか株価があがりにくい特徴がある。ファンドなどの出資者が少しずつ株式を売っているケースがあるからだ。いっぽうで、再上場企業であるベイカレント・コンサルティングは停滞期を脱出し、現在の好調な業績を背景に株価はうなぎ上りとなっている。

マーケティング調査のマクロミル(3978)、再上場後の株価下落が止まらない!(2020年7月5日投稿)

再上場のバリオセキュア、リカーリング収益は好調!株価の行方は?(2021年3月7日投稿)

中期経営計画(21年~25年)発表のベイカレント・コンサルティング、DX需要で業績は絶好調!(2021年5月9日投稿)

■ウイングアークの株価推移は?

 ウイングアークの時価総額は約670億円。業績的には割高感はない。しかしながら、大株主だったシージェイピー・ダブリュエー・ホールディングスが2021年4月に5.11%の持分を売却。大株主のSansanも2021年7月に7.68%→2.43%と5%ほどを売却している。当面は下落トレンドとなっており、底値を探る展開になりそうだ。株価が右肩あがりになるまで様子見が無難だ。

(画像1)ウイングアークの株価推移

以 上

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