過去最高益更新のレーザーテック、2022年6月期予想は保守的な計画か?

 半導体製造の検査装置のフォトマスク検査装置などを製造・販売しているレーザーテック。2021年6月期は過去最高の売上高・利益を達成。2022年6月期もこの業績を上回る予想を出している。しかしながら、市場の期待値よりも低い伸びの計画を提示しており、短期的には株価は乱高下しそうだ。レーザーテックの業績と株価の行方はどうなるのか?

レーザーテック(6920)、株価高騰中!!このまま上昇するのか?(2020年5月3日投稿)

■基本情報(2021年8月6日時点)

  • 株価:21,640円(10年来高値:23,930円)
  • 時価総額:2.0兆円
  • 予想PER:139.3倍
  • PBR:40.3倍
  • 予想配当利回り:0.25%
  • 自己資本比率:46.5%
  • 会計基準:日本基準

■レーザーテックの業績は?

 レーザーテックの2021年6月期の売上高は702億円(前年比+65%増)、営業利益260億円(前年比+73.1%増)の大幅な増収増益となった。レーザーテックの売上総利益率は+52.6%(前年は+54.0%)、営業利益率は+37.1%(前年は+35.4%)と製造業としては非常に高い水準となっている。

 レーザーテックの受注高は1,129億円(前年比+40.8%増)、受注残高は1,358億円となっている。単純に2021年6月期の約700億円の売上高の2年分の受注残高は維持している計算だ。ただ、心配なのは業績と株価がすでに大きく乖離しており、株価は予想PERが100倍(100年分)を超える水準まで上昇している。どこかで将来の期待がしぼんでしまうと、株価が半減くらいまで下落してもおかしくないことに注意が必要だ。

■旺盛な半導体需要の行方は?

 レーザーテックは半導体製造装置ではなく、半導体検査装置を製造している。半導体製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)はアメリカに建設中の新工場が2024年に量産開始を予定しており、レーザーテックも本工場向けの検査装置を受注していると思われる。スマートフォン、家電、自動車など半導体需要は旺盛で需給のひっ迫はつづいている。

 おそらく、コロナ禍で旅行や外食需要が激減した一方、家電・自動車などのモノへの需要が急増した需給バランスのゆがみが今回の半導体不足の一因ではないだろうか。反対にコロナが収束または抑制されたときには旅行や外食需要など別のモノに大きく需要が移動すると予想する。

 レーザーテックの半導体検査装置の需要は、これからもずっと続くわけではなく、景気の循環とともに減少するときがいずれ来るはずだ。

■レーザーテックの株価の行方は?

 レーザーテックの時価総額は約2兆円。株価指標的には予想PERは100倍を超えており割高な水準になっている。いまの株価高は世界的な金融緩和と財政出動の結果であり、これから金融緩和の縮小に向かい、いずれは金利上昇に向かうと思われる。レーザーテックにとっても向かい風になることは間違いなく、そこに受注鈍化が重なれば、株価半減になる可能性も十分ありえる。

 ここからレーザーテックで株価が2倍になることを期待するよりも、他の銘柄で株価の上昇を期待するほうが無難ではないだろうか。

 レーザーテックの売上総利益率は55%前後、営業利益率は35%前後。ここから売上規模が増えれば、営業利益率は40%近くまで上昇すると思うが、売上高1,000億円で営業利益は400億円前後となる。日y増に高収益な企業ではあるが、利益額を考えると時価総額2兆円から4兆円、6兆円と伸びていくには物足りない。もちろん、新規分野への参入やM&Aなど新しい局面がでてくれば前提は異なるが。

(画像1)レーザーテックの株価推移、きれいな右肩あがりのチャート

以 上

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