営業支援のヒト・コミュニケーションズ、EC事業中心に業績拡大つづく!

 デジタル営業支援、人材派遣(家電量販店への販売員派遣など)、ECサイト運営代行など複合的なマーケティング支援の事業をおこなっているヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス(以下、ヒトコミュニケーションズ)。もともとはビックカメラの子会社のビッグスタッフとしてスタート。ヒトコミュニケーションズはEC支援やアウトソーシング事業が好調で、前年同期比2ケタ成長をつづけている。ヒトコミュニケーションズの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年7月9日時点)

  • 株価:2,210円(10年来高値:2,432円)
  • 時価総額:396億円
  • 予想PER:15.9倍
  • PBR:2.91倍
  • 予想配当利回り:1.1%
  • 自己資本比率:46.8%
  • 会計基準:日本基準

■ヒトコミュニケーションズの業績は?

 ヒトコミュニケーションズの2021年8月期の第三四半期の売上高は613億円(前年同期比+15.7%増)、営業利益36.5億円(前年同期比+43%増)の増収増益となった。ヒトコミュニケーションズの売上総利益率は+17.4%(前年同期は+18.1%)、営業利益率は+6.0%(前年同期は+4.8%)とそれほど高い利益率ではない。

 ヒトコミュニケーションズの決算短信のセグメント別損益をみると、アウトソーシング事業が売上高181億円、営業利益20.7億円、人材派遣事業が売上高54億円、営業利益3.4億円、EC・TC支援事業が売上高291億円、営業利益7.3億円、ホールセール事業が売上高80億円、営業利益7.5億円となっている。アウトソーシング事業は売上規模も大きく、利益率も2ケタと高い。ヒトコミュニケーションズの業績を引っ張っているのはアウトソーシング事業となっている。

■ヒトコミュニケーションズの事業内容は?

 ヒトコミュニケーションズはさまざまな事業を行っているが、キーワードとしては「営業・マーケティング支援」と「デジタル活用」だ。アウトソーシング事業では家電量販店への販売業務受託やコールセンターを活用したデジタル営業支援などをおこなっている。顧客企業としては営業をアウトソーシングして人件費を変動費にできることが魅力的だ。

 人材派遣事業は家電量販店などへの販売員の派遣だ。アウトソーシング事業では請負として行うものの、人材派遣事業では人材を派遣して顧客企業の指示のもと業務にあたるという違いがある。

 ヒトコミュニケーションズが力を入れているのはEC・TC支援事業だ。顧客のインターネットサイトを運営し、売上高などに応じたレベニューシェア方式で収益を得る事業モデルだ。ヒトコミュニケーションズが支援しているのは主にファッション・スポーツ分野。現在支援しているサイト数は120サイト。支援しているサイト数は増加傾向であるものの、売上高は90億円(1Q)、97億円(2Q)、76億円(3Q)と3Qで大きく落ち込んでいることが気になる。

 ホールセール事業ではアパレル関係の衣料品の企画・デザイン・生産などODM方式で販売している。ODM方式は独自で設計・製造した製品を他社ブランドとして販売する事業モデルだ。

■期待されるEC支援事業!

 ヒトコミュニケーションズで期待されるのはEC支援事業だ。国内ライブコマースの「MOFFLY」がグループに加入し、アパレル中心にライブコマース分野を強化する。家電量販店などではアバターを活用したオンライン接客ソリューションの「UsideU」がグループに加入。リアルとオンラインの技術を蓄積し、マーケティング分野での成長を目指していく。

 ヒトコミュニケーションズのEC支援の競合は、itsumo(いつも)、ソフトクリエイト、インターファクトリーなど多い。アパレル中心に自社で公式サイトを運営するのではなく、レベニューシェアなどで他社に委託する事例が増えている。

EC事業(ネット通販)を総合代行するitsumo(いつも)、緊急事態宣言で需要拡大中!(2021年2月21日投稿)

クラウド型ECシステム「ebisumart(エビスマート)」のインターファクトリー、規模拡大が大きな課題!(2021年5月5日投稿)

ECサイト導入~保守のソフトクリエイト(3371)、絶好調の業績!株価はどうなる?(2020年6月13日投稿)

■ヒトコミュニケーションズの株価の行方は?

 ヒトコミュニケーションズの時価総額は約400億円。株価指標的には割安感がある。前年比2ケタ成長をしており、EC支援など伸びる分野に強い。気になるのは売上総利益率の低さ。いまの売上総利益率は20%を下回っており、事業モデル的に大幅な売上総利益率の改善はむずかしい。営業利益率2ケタを達成するのは、かなり難しいかもしれない。新しくグループに加わったライブコマースなどに期待しつつ、株式相場次第では時価総額1,000億円まで上昇する可能性は十分ありえると期待したい。

(画像1)ヒトコミュニケーションズの株価推移

以 上

 

 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする