クラウド型のECシステム「ebisumart」を展開しているウェブサイト構築支援のインターファクトリー(InterFactory)。2020年8月に東証マザーズに上場したベンチャー企業。従業員数は約120名。前年比+15%を超える成長をつづけているものの、年間の売上規模は約20億円とまだ小さい。上場直後は時価総額300億円を超えたものの、現在の時価総額は約100億円。インターファクトリーの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年4月30日時点)
- 株価:2,610円(10年来高値:9,000円)
- 時価総額:104億円
- 予想PER:83.3倍
- PBR:11.28倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:71.3%
- 会計基準:日本基準
■インターファクトリーの業績は?
インターファクトリーの2021年5月期の第三四半期の売上高は15.3億円(前年同期比+16.5%増)、営業利益1.7億円(前年同期比+26.2%増)の増収増益となった。インターファクトリーの売上総利益率は+42.4%(前年同期は+43.1%)、営業利益率は+11.0%(前年同期は+10.1%)。受注残高は前年同期比+42.6%と増加しており、当面は安定した売上高の伸びとなりそうだ。
■インターファクトリーのビジネスは?「ebisumart」とは?
インターファクトリーが提供しているのは、大規模向けEC事業者へのECサイトの構築と保守のサービスだ。インターファクトリーは「ebisumart(エビスマート)」というクラウド型のCMS(コンテンツマネジメントシステム)を提供しており、さまざまなECサイトを構築することができる。このECサイトの構築や保守で稼ぐビジネスモデルとなっている。
■「ebisumart」の収益モデルは?
インターファクトリーはシステム受託開発とシステム運用保守の2つの柱で収益をあげている。売上高比率はシステム受託開発が約4割、システム運用保守が約6割となっている。「ebisumart」を導入する企業が増えれば、システム運用保守の売上高を安定的に計上できるビジネスモデルとなっている。
そのシステム運用保守には従量課金、固定課金、レベニューシェアの3つに分かれている。現時点は従量・固定課金プランが全体の90.7%を占める。2021年2月末時点の「ebisumart」の店舗数は386店舗。導入している企業では、たとえば、ラルフローレン、デイトナ、ジョイフル本田、三省堂、カシオ計算機、レノボ・ジャパン、MTGなど上場企業も少なくない。導入店舗の流通総額(GMV)は年間約1,100億円。1店舗あたり約3億円の年間流通総額となっている。
■インターファクトリーの競合他社は?
インターファクトリーの競合他社は少なくない。たとえば、「ショップサーブ」を展開するEストアーや「カラーミーショップ」などを展開するGMOペパボ、そして、ECサイトを代行するitsumo(いつも)など。ソフトクリエイトもECサイト構築支援で絶好調だ。
インターファクトリーがターゲットとしている顧客は大規模ECサイト。つまり、大手企業が顧客となる。大手企業の場合は、自社のIT部門で構築・保守をしているケースも少なくない。そのようなケースではコンサルティングや外注サポートなどの参入の可能性はあるものの、インターファクトリーの「ebisumart」に置き換える可能性は極めて低い。
ECサイト導入~保守のソフトクリエイト(3371)、絶好調の業績!株価はどうなる?(2020年6月13日投稿)
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■インターファクトリーの株価の行方は?
インターファクトリーの時価総額は約100億円。上場直後に株価は高騰したものの、そこから下落がつづいており、現在は最安値圏となっている。現在のホルダーはほぼ含み損の状況だ。しかしながら、将来のマーケットの拡大やインターファクトリーの売上総利益率(+40%)を考えると、利益の拡大はつづきそうだ。
現在のインターファクトリーの売上規模は約20億円、売上総利益は約8億円、営業利益2億円。仮に、売上規模が5倍の100億円になった時、売上総利益は約40億円、営業利益は15億円~20億円くらいは出るのではないか。そのときにはPER30倍で計算すると時価総額400~500億円くらいになっていてもおかしくない。インターファクトリーの売上規模が拡大するとシステム運用保守の売上比率が高まるため、売上総利益率も更に改善が見込める。引き続き、インターファクトリーをウォッチしたい。
以 上